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松下幸之助の経営哲学-その真髄の理解と実践のために-

世の中に優れた経営者と言われる人は多くいますが、”経営の神様”と言われたのは、松下幸之助だけです。なぜでしょうか?それは、卓越した観察力で様々な人々を観察する中で、人間の”無限の可能性”と現実の姿としての”心の弱さ”という相矛盾する本質を発見し、そして、それらの双方の本質を共に活かそうとして、”自分の心を使いこなす”こと、また、それを応用して他人を使うことを極めたからだと言えるのではないでしょうか。つまり、松下幸之助の経営哲学は、”人間学の集大成”とも言えるものです。

本サイトでは、これまで必ずしも十分に解明されなかった松下幸之助の経営哲学の機能とメカニズムを現代の神経科学や脳科学、心理学、神経言語プログラミングなどの知見にもとづいて解明し、その全体像を明らかにして体系化したものです。これまで松下幸之助の経営哲学は知識として頭で理解することはできても、本当の意味で実践することは必ずしも容易ではありませんでした。しかし、本サイトが解明したその経営哲学を”血肉”となるほど自分自身の”信念”とすることができれば、その経営に、また、人生に自然と実践することができるようになるでしょう。そうすれば、結果は自ずとついてくるものだと言えましょう。                                    

 

                           2016年5月1日 著者 宮﨑 勇気                 

7.補論②困難を乗り越える経営:禍転じて福となす⑬

7.補論②困難を乗り越える経営:禍転じて福となす⑬


 このように危機に直面したときに、その危機自体が“客観的事実”としてどのようなものであるかということももちろん関係がないわけではないが、むしろそれよりも重要なことは、その危機をどのように捉えるかという、自分自身の認識の世界の問題であり、それは自分で選ぶことができるということ、そして、その選択次第で自分の考えと行動が変わり、その結果としての成果も変わってくるということなのである。


 この点、松下幸之助は次の様に述べている。「我々は、自ら生み出せないと考えるか、生み出せると考えるかということによって変わると思うんです。行き詰まっている仕事は、新しいものを生み出す一つの転機に立っていると考えたらええと思うんです。そういう考えを持てば画期的な躍進~に変わっていくと思うんです。」逆に言えば、『新しいものを生み出せない』と考えれば、生み出せないという結果となることは至極当然のことである。そして、『新しいものを生み出せる』と考えたからと言って実際必ずそうなるとは限らない、失敗することもあるだろう。しかしながら、ここでの問題は、その状況における自分や自社の潜在能力を最大限に発揮させるのはどちらであるかということであって、それは『新しいものを生み出せる』と考えた場合であることは間違いない。松下幸之助はそのことを言っているのだ。


 松下幸之助は、この『禍転じて福となす』という考え方を実践して行く中で、直面した困難を克服するだけでなく、それ以上の発展を遂げてきたのである。そのような実績と歴史を踏まえて、次の様に述べている。「過去の歴史が雄弁に物語っているものは、だいだい、非常に困難な情勢に直面したときに、その国の人なり、その団体なりが、その困難の実態をはっきり自覚認識して、これを何とか除去して本らの姿に戻そう、さらに発展の姿に戻そうと決意をして、その決意に基づいて懸命な努力をしたならば、偉大な発展を遂げている・・・松下電器の過去においては、困難に直面したときに、必ず何ものかを生み出してきているのです。・・・この考え方に立てば、かつてない難局であれば、それは同時にかつてない発展の基礎になるということを感得することができるわけで・・・」(「わが経営を語る」pp.87-89)


 第二次世界大戦直後は、GHQによる松下家の財閥指定や制限会社の指定などにより、事業活動はほとんど“半身不随の状態”であり、初めて賞与の支給ができず、定期昇給も保留となるほどの“最悪の年”とも言える年であった。当時を振り返って、松下幸之助は言う。「窮状に陥っても悲観しないことです。自分は(戦争で)財産が一瞬にして無くなったことがありました。しかも莫大な個人負債ができたんです。普通は首でも吊ってしまわなければならないほどの困難な状態ですわ。しかしこれでも死んでいる人よりましや、弾に当たって死んだ人もたくさんあるこしゃかいとを思えば、ぼくは恵まれてる、こんなに恵まれている自分は幸せや、ありがたいことや、そう思ったら悲観することはない。それで歓喜をもってこの困難に取り組んでいこうと考えてやってきたと思うんですよ。


 そして、翌昭和24年の経営方針発表会において、松下幸之助は、この『禍転じて福となす』という考え方を松下電器の経営の基本と位置付け、次の様に述べている。「われわれはつねに、いかなる場合、いかなる時にあっても、光明を見出していき、良くないことがあっても、それを福に転じて進んで行くということに、事業遂行の心構えを樹立しなければならないと思うのです。」(「わが経営を語る」p.77)


 これこそ、経営の危機に直面し、危機を活かして逆に大きく発展を遂げてきた松下電器の伝統であり、その秘密であった。


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      ニック株式会社の創業者である“松下幸之助の経営哲学”の現代の諸問題への応       用として、最近の話題等をテーマにしたブログです。 最新の記事は、       「成功者の条件~自分の潜在能力を最大限に発揮するために~⑨」です。