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松下幸之助の経営哲学-その真髄の理解と実践のために-

世の中に優れた経営者と言われる人は多くいますが、”経営の神様”と言われたのは、松下幸之助だけです。なぜでしょうか?それは、卓越した観察力で様々な人々を観察する中で、人間の”無限の可能性”と現実の姿としての”心の弱さ”という相矛盾する本質を発見し、そして、それらの双方の本質を共に活かそうとして、”自分の心を使いこなす”こと、また、それを応用して他人を使うことを極めたからだと言えるのではないでしょうか。つまり、松下幸之助の経営哲学は、”人間学の集大成”とも言えるものです。

本サイトでは、これまで必ずしも十分に解明されなかった松下幸之助の経営哲学の機能とメカニズムを現代の神経科学や脳科学、心理学、神経言語プログラミングなどの知見にもとづいて解明し、その全体像を明らかにして体系化したものです。これまで松下幸之助の経営哲学は知識として頭で理解することはできても、本当の意味で実践することは必ずしも容易ではありませんでした。しかし、本サイトが解明したその経営哲学を”血肉”となるほど自分自身の”信念”とすることができれば、その経営に、また、人生に自然と実践することができるようになるでしょう。そうすれば、結果は自ずとついてくるものだと言えましょう。                                    

 

                           2016年5月1日 著者 宮﨑 勇気                 

8.まとめ-人生も仕事もすべては“心の持ち方”次第⑲

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 第三の意味は、“感謝の心、謙虚な気持ちを忘れない”ことである。

 松下幸之助は、“感謝の心”を「商人としてのほんとうの心」と捉え、それを忘れると、「だんだんと態度が横柄になり、会社としてもいきいきとした活動ができにくくなる」とする。言い換えれば、自分の利害や感情などの“私心”にとらわれ、自己中心的な人間の現実の姿が現れてくるからである。商売がうまく行っているのは、自分の才能であり、実力なのだと勘違いし、普段の“お客様のご愛顧”への“感謝の心”とともに“謙虚さ”が失われ、さらに度が過ぎると、『自社のいい製品を売ってやっているのだ』『有難く思え』とばかりに“傲慢”になる。

 “傲慢さ”は、まさに“私心にとらわれた姿”であり、自分以外の物の見方や考え方を切り捨てて視野を狭くする(“削除”)だけでなく、それらを自分の都合のいいように勝手に歪めて解釈・評価し、軽視して(“歪曲”)、決めつける(“一般化”)。その結果、『商売の本質(“人々の役に立つこと”)』『相手の立場に立って考えること』という大切なこと、『決して忘れてはならない』と松下幸之助の強調する『一商人なりとの観念』を見失ってしまうのである。これこそ、『驕る平家は久しからず』と言われる通り、政治や事業などが一時的に成功したときに、有頂天になり“驕り”“傲慢”になって、失敗するという人間の歴史上何度も繰り返されてきた典型的な失敗のパターンであった。松下幸之助は、この失敗のパターンに陥ることを避けようとしたのである。

 これに対して、“感謝の心”を持っている場合、顧客など自分の外にあるものに対する“感謝”に“焦点”が当たっているから、気分のベクトルが“外向き”になっている。自分の心の中は、“感謝”によって“満ち足りた状態”、あるいは“不平”や“不満”の無い状態となる。人間は、異なる2つ以上の感情を同時には持つことができないと言われる。そうだとすれば、常に「感謝の心」とそこから生まれる「謙虚な気持ち」を持っていれば、人の心に“驕り”“傲慢さ”が生まれる余地はなくなるのである。たとえ自分の前に通常ならば“不平”や“不満”を抱かせるような現象があっても、“焦点”から外れて“削除”される、あるいは、それをむしろ“自分に与えられた試練”と肯定的に捉え(“歪曲”)前向きに解決して行こうとすることができる。

 また、“謙虚さ”は、自分の物の見方や考え方にとらわれず、自分以外の物の見方や考え方に対して常にオープンになり、視野を拡げる機能を持つ。

 「感謝の心を持つ」ということは、それにより“私心”などへの“とらわれ”から脱却して「とらわれない素直な心」となり、かつ、お客様の日頃のご愛顧への感謝の気持ちから、“感謝の心”を具体的な形にして人々に表したい、お返しをしたいというように「人々の役に立つこと」をやりたいという強い動機とベクトルが自然に生まれる。(“返報性のルール”)

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