• 宮崎 勇気

7.補論②困難を乗り越える経営:禍転じて福となす⑫

7.補論②困難を乗り越える経営:禍転じて福となす⑫


 第六に、『禍転じて福となす』という“発想の転換”である。これは、そもそも人間はその“気分”次第で、その仕事の成果が大きく違ってくるということに気づいたところから始まる。曰く、「困難な情勢に直面すると、人間というものはともすれば、あれこれ不安を感じたり心配したりします。(嘆いたり、誰が悪いと憤慨しても)何も生まれてきません。心も委縮してしまい、困難に対処していくための知恵もでてきにくいでしょう。」(「経営のコツここなりと気づいた価値は百万両」pp.114-115)「同じ一つのことでも、それをどう見るかという見方によって、色々と違った見方ができる。そうして、その見方によって、自分自身の気持ちが変わってくる。どういう見方をしようと自由である。だから、少しでも自分のプラスになるような見方をすればよい。それで、自分の人生も明るくなる。・・・要は、どういう見方をするかによって、物事が良くも悪くもなる。だから、お互いによりよい見方をさがすことである。」(「人を活かす経営」pp.218-221)


 さらに、松下幸之助は、人間の“心の持ち方”“物の見方”“物の考え方”“行動”を変える力があると考えた。曰く、「楽観か悲観か、積極か消極か、我が心のあり方いかんで、ものの見方が変わってくる。見方が変われば判断が変わり、判断が変われば行動が変わって、おのずと結果も変わってくる。壁を乗り越え、いい結果を生むために肝心なのは、やはりまず自分の心のあり方ではなかろうか。


 そして、人間には、そのような“心の持ち方を選ぶ力”あるという“たくましさ”が備わっているのだと言うのである。困難に直面したときにも、いわば心の力を“てこ”として困難に打ち克つ力を得ることができると考えた。松下幸之助は、そのことを学問的アプローチからではなく、自身の経験と実践の中から掴みとったのである。曰く、「人間の心の動き、働きというものは、孫悟空の如意棒のように伸縮自在であると思います。・・・困難な時にこそ、みずからの夢を開拓する、また会社の運命を開拓する、国家の運命を開拓するというふうに結びつけてゆくところに、人間のたくましさというものがあると思います。」(昭和33年1月経営方針発表会「わが経営を語る」p.47)


 そこに、先に紹介した宇宙や自然、人間社会に存する『生成発展の原理』を踏まえて“生成発展”という“心の窓”から眺めることによって、“将来の発展”を固定して、現在の困難な状況を捉えることができる。つまり、「大きな不景気に襲われたことは、身のため、会社のためだと思うべきで、ここからよくなっていくのだということを前提としてものを考えないといかんと思っているのです。景気の復興、発展の第一年とするという気になって、すべてについて悲観的な見方をしない、むしろ楽観的な見方をしようというわけです。」『宇宙や自然、人間社会は絶えず生成発展しており、その中で事業活動を営んでいる』との基本認識が根底にあってこそ、『いかなる場合においても真に力強い経営を展開していくことが可能になるのである。』(「実践経営哲学」p.18)と述べている。


 そうすると、それは“将来の発展”に向かうために通らなければならない関門であり、克服すべき経営課題を示唆してくれる“チャンス”でもあるという捉え方となる。曰く、「危機に直面しても、志を失わず、よりよき道を素直に私心なく考えつづけていくならば、よき知恵も集まってきて、画期的なよき道がひらけてくる、また、これをチャンスとして受け止め、“禍転じて福となす”こともできるようになる。」(「素直な心になるために」p.89)

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