• 宮崎 勇気

4.自然の理法 1)生成発展の原理 ②


4.自然の理法に基づく経営 

1)生成発展の原理 ②

 松下幸之助は、この“ことごとく生成発展と考えること”という“心の持ち方”を自身の生涯の人生の価値観として“選択”するとともに、それを“事業経営”の面においても、“人間の本質”とともに、“正しい経営理念”の基礎とした。曰く、「正しい経営理念というものは、単に経営者個人の主観的なものでなく、その根底に自然の理法、社会の理法といったものがなくてはならない。~あえていうならば、私は限りない生成発展ということがその基本になるのではないかと思う。」(「実践経営哲学」p.15)「人間の本質なり、自然の摂理に照らして何が正しいかということに立脚した経営理念というものは、昔も今も将来も、また日本においても外国においても通じるものがある。」(「実践経営哲学」p.14)

 そして、松下幸之助は、事業経営の局面において、経営者に対して「ことごとく生成発展と考えること」を求めた。曰く、「・・・生成発展という理法が、この宇宙、この社会の中に働いている。その中で、われわれは事業経営を行っている。」(「実践経営哲学」p.16)

 “資源の枯渇”という問題を例に挙げて、世の中では、投資が不要となるとか、事業の縮小ということが言われているが、“限りない生成発展”という考えに立てば、「個々の資源は有限であり、なくなっても、それに代わるものは人知によって必ず生み出し、あるいは見出すことができると考える」とし、「新たな投資や開発を行っていくことが必要となる」と考えることができると述べる。

 このように経営者が「ことごとく生成発展と考えること」を自身の“強固な信念”とすることによって、“将来の生成発展”に“不安”や“恐れ”“疑い”を抱くことなく、いわばそれが確定されたものとして“固定”した上で、そこから現状に戻って考えることができるから、将来の“生成発展”に向かうための“可能性の存在”を常に初めから前提として、諦めることなく、その可能性を徹底して見出して行こうとすることができる。また、その結果生み出される“生成発展”に向けた対策について、「必ず成功すると考えること」(「実践経営哲学」p.54)ができるようになる。さらに、経営者自身の意識が“生成発展”ということに焦点化され、世の中の“生成発展”につながる情報が“地引網”の如く集まってくるから、将来の“生成発展”に向けて自社の“為すべきこと”が何かが見えてくるし、また、“そのやり方”に関するヒントが得られるだけでなく、チャンスをも見逃さないこととなる。

 他方、“将来の生成発展”を否定し“衰退消滅”につながるような情報は、“削除”されて見えなくなるから、無意味に悩むこともなくなり、成功への確信を持つことができて精神的にも安定する。また、これら精神面や情報収集・分析の面でも“衰退消滅”につながるマイナス情報など余計なことに無駄な時間を過ごす必要もなくなり、極めて“効率的”ともなる。それだけ、将来の“生成発展”に向けた自社の“為すべきこと”や“そのやり方”ということに集中することができるのである。

 それ故、松下幸之助は、「人間の共同生活、さらにはそれを包含する大自然、大宇宙は絶えず生成発展しており、その中でわれわれは事業活動を営んでいるのだという~明確な基本の認識が根底にあってこそ、いかなる場合においても真に力強い経営を展開していくことが可能となるのである。」(「実践経営哲学」p.18)と結論づけているのである。

 何に自分の意識をフォーカスするかという“心の持ち方”が、自身の“物の見方”“物の考え方”、さらには“行動”を変えるのである。「人生も仕事も心の持ち方次第だ」と喝破した松下幸之助の真骨頂であると言えよう。

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(お知らせ)関連の下記ブログも併せてご覧いただければ幸いです。現パナソニック株式会社の創業者である“松下幸之       助の経営哲学”の現代の諸問題への応用として、最近の話題等をテーマにしたブログです。最新の記事は、「PHP研究所佐藤悌二郎氏の松下幸之助論に異論あり ⑥ 3.自然の理法に従うこと:「雨が降れば傘をさす」②」

です。

#生成発展の原理

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