• 宮崎 勇気

4.5)“日に新た”(3)“日に新た”は“生成発展の原理”の現れ


4.自然の理法に従う 

 5)“日に新た”

 (3)“日に新た”は“生成発展の原理”の現れ

 松下幸之助は、この「時代の変化に適応していく」ということ、即ち“日に新た”であるということは、“生成発展という自然の摂理”そのもの、あるいは、その“現れ”であると捉えた。

 この宇宙や自然、社会には、“生成発展の原理”が働いており、それらは限りなく生成発展して行くのが原則であるが、時に“衰退”や“行き詰まり”という現象も生ずる。しかし、それらは、その時点での“環境の変化に適応できていない姿”であって、あくまで“生成発展に向かうプロセスの一部”に過ぎない。それ故、“自然の摂理”に従って、“日に新た”を実践し、自らを変えて環境の変化に適応していく限り、やはり“自然の摂理”によって「限りなく生成発展していく」ものだと考えた。つまり、“日に新た”なくして、ただ同じ考えと行動を繰り返して行くだけでは、いずれ“行き詰まり”や“衰退”を迎え、それらを乗り越えることができず、“生成発展”して行くことはできない。しかし、そのようなときに“日に新た”を実践し、自らを変えて、環境の変化に適応して行くことによって初めて“生成発展”していくのである。つまり、“日に新た”を実践するということは、“自然の摂理”である“限りなく生成発展して行く”のための“不可欠のプロセス”であり、それ故、“生成発展という自然の摂理”“現れ”だと捉えたのである。

 この点、松下幸之助は、次のように述べている。「宇宙万物一切は、つねに変化し、たえず流転しているのです。そして、それはただ変化しているのでもなければ、もちろん衰退死滅でもありません。生成発展なのです。個々の姿を見れば、いのちあるものが死を迎えかたちあるものが滅びるということはあります。しかし、その滅びたものも、それだけにとどまるのではなく、それがまた次に新しいものを生むわけです。だから、生成発展とは、日に新たにということであり、毎日毎日が新しい生まれ変わりであり、一瞬一瞬に新しい生命が躍動しているということであります。言い換えますと、すべてのものは、絶えず変わりつつあり、古きものが滅び、それに代わって次々と新たなものが生まれ育っていくという、日に新たな進歩の姿が続けられているのです。」

この点、「自然の理法に従うこと」の例として松下幸之助が挙げた「雨が降れば傘をさす」という言葉について、「商売、経営に成功の秘訣、発展の秘訣があるとすれば、“雨が降れば傘をさす”ように、万人の常識、平凡なことを当たり前にやることに尽きる」という意味だとする解釈がある(PHP研究所佐藤悌次郎氏)が、それが全く的外れであることは、先に述べた通り、“日に新た”に自らを変革し変化に適応して行くことによって初めて“限りなく生成発展していく”のだとする松下幸之助の“日に新た”の考え方から明らかである。

 また、この松下幸之助の“日に新た”という考え方は、生物の進化についての生物学者チャールズ・ダーウィンの『進化論』の考え方にも合致する。ダーウィンは言う。「強いもの、大きいものが生き残るのではない。環境の変化に適応できたものだけが生き残るのだ。」環境の変化に生き残っていくためには、自ら変わることによって、変化に適応して行く他ない。自ら変わって変化に適応することができたもの、すなわち、“日に新た”を成し得たものは生き残り、自らを変えられず、“日に新た”を成し得なかったものは、生き残れない。それが“自然の摂理”であるとする点で両者は共通である。

 ただ、両者の違いは、生物の進化の場合は、遺伝子の突然変異という形でその生物自身の意思とは無関係に現れるのであって、その生物自身が“自分を変えること”を選択するわけではないのに対して、人間の場合は、事業の経営において、経営者自身がそれまで自分のやってきた経営のやり方を変えるのか変えないのか、また、変えるとして、何を変えるのかということを自分自身の意思によって、“選択”することができるという点にある。

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      現パナソニック株式会社の創業者である“松下幸之助の経営哲学”の現代の諸問題への応用として、最近の話       題等をテーマにしたブログです。

      最新の記事は、「PHP研究所佐藤悌二郎氏の松下幸之助論に異論あり⑭4.衆知を集めること②」です。

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