• 宮崎 勇気

4.自然の理法に基づく経営(4)“ものみな原因あり”:“成功の原因”をつくり、“失敗の原因”を無くして行く①


4.自然の理法に基づく経営

(4)“ものみな原因あり”:“成功の原因”をつくり、“失敗の原因”を無くして行く①

 志を高く持ち、将来の社会の発展に向けた夢の持てる経営目標を設定しても、それだけでは実現することは困難である。その目標自体は、抽象度が高いため、より具体的な事業活動のレベルに落とし込む必要があるからだ。そのためには、どうするか?

 この点、松下幸之助は、「ものみな原因あり」とこの宇宙や自然界においては、何ごとにも必ず原因があると考えた。そして、そこから翻って、「一定の成果をあげようと思えば、それに相応しい原因をつくらなければならない。」と考えたのである。つまり、“種”を蒔くから“実”がなる。“種”を蒔かなければ“実”はならない。“原因”があって初めて“結果”を生ずる。自然界においては、当然のことであるが、現実の事業経営となると、意外にこの点が忘れられている場合があるのだ。

 例えば、営業の現場では、ただ闇雲に“頑張れば何とかなる”という精神論や根性論が依然として根強い場合がある。“努力”という曖昧な言葉だけで、“種”も蒔かずに、“実”のなること(結果)ばかりを期待し、生まれるはずのない“実”(結果)を探し回ってほとんど無駄な努力を続ける。そこでは、“実”(結果)にばかり意識がフォーカスされ、それに至る“プロセス”やその結果を生み出す“原因”が疎かにされ、忘れられてしまっている。

 これに対し、松下幸之助は、原因-結果という因果律を厳格に捉え、求める“結果”(“実”)自体ではなく、そのような“結果”(“実”)を生むに相応しい“原因”(“種”)は何かを徹底して考え抜き、そのような“成功の原因”を創り出すことに意識をフォーカスしたのである。言い換えれば、“結果”に至る“プロセス”とそのような結果を生み出すに相応しい“原因”を重視した。

 現代の経営戦略論において、経営のビジョンを実現するための“重要成功要因(KFS : Key Factor for Success)”という考え方がある。経営のビジョンを実現する要因の中でも特に“鍵”となる重要な要因を押さえて、そこに経営資源を集中的に投入することによって、経営ビジョンを実現し、他社との差別化を図ろうとするものである。松下幸之助のこの「成果に相応しい原因をつくる」という考え方は、換言すれば、「成功の原因をつくる」ということであって、現代の“重要成功要因”という戦略的な思考方法につながるものである。

 また、松下幸之助は、経営者たる者は、「将来から現在を考える」という発想が大切だと強調し、次の様に述べている。曰く、「経営を進めていくのに、経営者はいつも将来というものが頭の中にないといかんね。五年後にはどうなるか、あるいは十年後にはどうなるか~そして、その上でいまどうしたらいいのかを考える。」「将来から現在を考える。こういう発想が経営者としての発想というもんや。」「将来のことを考えれば、これはやらんといかん、あれもやらんといかんということになるわね。そういうことになれば、それをやると。けど、~実行するのが困難であると。なかなか出来ませんというものもある。しかし、出来ませんからやりません、というようなことを言っておったら、それでおしまいということになるわな。その目標を実現することはできんわけや。経営は成り立っていかん。」

「何としても目標を実現したいと願うならば、その出来んことでも何とか出来るように考える。」「出来んけど出来るようにするためには、どうしたらいいのかを考える。そして断固やると。それを解決する知恵を出し、努力をせんといかんわけや。あるいは、このままでは倒産すると。このままでは会社が潰れると。だから、倒産させないためには、こういうことをしないといけません、こういう手を打たんとだめですという場合に、それは困難です、そんなことはできませんと、そういうことを言うてもきみ、意味のないことやろ。」

「このままでは、会社の立て直しは出来ない。出来ないけれど、出来るようにする。最後まで出来るという工夫をしていく。それが経営というものや。だから経営者は常に将来を考えてそして現在をどうするか、いまどのような手を打つのか、そういうことを考えんといかんな。それがいかに困難であろうと、苦しくとも取り組むと。」

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#成功の原因をつくり失敗の原因を無くして行く

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