• 宮崎 勇気

6.補論①失敗しない経営:松下幸之助とリスクマネジメント⑦ 4)失敗をしない経営:失敗の原因を事前に無くして行く①


6.補論①失敗しない経営:松下幸之助とリスクマネジメント⑦

4)失敗をしない経営:失敗の原因を事前に無くして行く①

 松下幸之助は、事業経営において『なぜ失敗をするのか』ということについて、次の様に述べています。「われわれは物事がうまくいかない場合、とかく自分自身で、こういう点があるからうまくいかないのだ、ああいう原因があったからだ、とよく考えます。これは、一面そのとおりであって、それぞれに原因があります。しかし、本当は、そのいろいろな原因も、事前に察知して、それを除去することに成功していたならば、成功の姿が次つぎとあらわれているはずです。後になって、この点は失敗だったとか、この点がよくなかったということは、やはり事前に遠い先ざきの慮りがなかったというところに原因があると思うのです。」(PHP研究所刊『道は無限にある』より)

 そして、松下幸之助は、昭和30年1月1日の経営方針発表会において『五か年計画』を発表するにあたって、新工場の建設や従業員の増員は考慮していたものの、『社員の訓育』の具体策を立てていなかったことを後で非常に悔やむこととなったとの体験談を述べ、『失敗しない経営』について、次の様に述べています。「こう考えてみると、すべて物事は用意周到に計画を立てていったならば、いわゆる失敗というものはほとんどないといってもいいと思うのです。」(同上)つまり、実際に失敗をして、その失敗から事後に学ぶということがあるが、もしそれを事前に検討し、手を打っておけばその失敗は未然に防止することができたはずだというのである。そうして考えられる主な失敗の原因を潰して『用意周到な計画』を立てて行けば、「失敗はほとんどなくなる」と断ずるのである。

 そして、再び『失敗の原因』について触れ、「ところが、実際には次つぎと失敗があるというのは、これはやはりなすべきことを十分に考えていない、また考えてもなすべきことをなしていないというところに、多く原因があるように思うのです。だから、反省すべき点は他に求めずして、自分にあると考えねばならないと思います。」「非常に深い反省をして、こうなった原因はどこにあったか、ことごとく自己にあるのだ、というように考えなければならないと思うのです。」「十分反省しつつやっていけば、大きな失敗は絶無になるといってもいいと思います。」と述べ、多くの企業が失敗を繰り返す現状から翻って、経営者に“自己反省”が欠けていることを指摘し、経営者は、先に述べた『失敗の原因はわれにあり』と考えなければならないと強調する。曰く、「たとえば会社がうまく発展しないというのもいろいろ原因がありますが、その原因は真の原因ではなく、真の原因は自己反省の足りないところ、また自己反省しても適切なことを考えられないところにあるわけです。」(同上)

 この経営者の自己反省の欠如や反省しても「適切なことを考えられないこと」というのは、自分の弱点や嫌な所を見たくないから適当にお茶を濁して自分を甘やかす“人間の心の弱さ”によるものである。さらに、松下幸之助は、それを事後の“自己反省”に止まらず、一歩進めて事前に『失敗の原因』を考えて手を打っておくという『用意周到な計画』を策定せよと経営者に求めるのである。

 曰く、「事業というもの、仕事というものは、つまずくことはあり得ない。それがあるということは、それにふさわしい時々刻々の反省、用意周到さに欠けるところがあるからだということを、お互いにはっきりと自覚してやっていくことが大事だと思います。そうすれば失敗は半減すると思うのです。」

 それ故、先に述べた『先憂後楽の発想』を持つこと、つまり「難局に直面せずにすむようにつねに人びとに先んじてものを考え、いろいろ発想し、それに基づいて適切な手を打っていくということ」ができることを経営者の必須の条件だとしたのである。

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(お知らせ)関連のブログも併せてご覧いただければ幸いです。今年100周年を迎える現パナソニック株式会社の創業者       である“松下幸之助の経営哲学”の現代の諸問題への応用として、最近の話題等をテーマにしたブログです。       最新の記事は、「6)私たちは“仮想現実の世界”に生きている!『人生は芝居のようなもの』①」です。

#失敗しない経営

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