• 宮崎 勇気

6.補論①失敗しない経営:松下幸之助とリスクマネジメント④(3)『失敗の原因はわれにあり』と考える:失敗に学び、失敗を繰り返さない①


6.補論①失敗しない経営:松下幸之助とリスクマネジメント④

(3)『失敗の原因はわれにあり』と考える:失敗に学び、失敗を繰り返さない①

 事業経営において、何か失敗を犯してしまったときには、本来『なぜ失敗してしまったのか』その原因を客観的に分析し、そこから教訓を学んで、将来同じ失敗を繰り返さないために手を打つべきである。

 しかしながら、“反省すること”は大切だと頭では思っていても、実際に反省し、総括し、将来に備える人は、驚くほど少ない。自分を甘やかすからである。この点、松下幸之助は、次の様に述べる。「人間は、易きにつきやすい。ああしなければと頭ではわかっていながら、自分が可愛いから、つい甘やかし、適当なところでお茶を濁しておきたくなる。」過去の失敗を反省することは、自分の“悪い所”や“弱点”を見ることとなりかねないということをいわば本能的に察知して、拒絶反応を示すのであろう。

 それでは、そのような考えと行動(反省しない)はどこから出てくるのであろうか?

 それは、遡れば、経営者自身が、『企業経営は外部の情勢に左右されて、うまくいったり、いかなかったりするもの(だ)』、あるいは『勝負は時の運』だと考えているからだ。

 実際、『勝負は時の運』だという考え方を持つ経営者は、経営に失敗したときには、『運が悪かった』のだから仕方がないと考えることとなる。その失敗の原因は『運が悪かったこと』にあったのであるから、その失敗について、それ以上原因分析をする必要がなく、そこで終わってしまって、思考停止に陥る。その結果、その失敗を“反省すること”はなく、それ故、“失敗の原因”は不明のままで、その失敗から学ぶこともなければ、その原因に対して手を打つこともない。その結果は、将来同じ状況に遭遇すると、また、同じ失敗を繰り返すこととなる。松下幸之助は言う。「うまくいかなかった時に、それを運のせいにして、『運が悪かった』ということになれば、その失敗の経験が生きてこない。」(実践経営哲学p.56)

 ここで、重要な点は、どのような“心の持ち方”を採るかによって、その後の“物の見方”“物の考え方”が規定されてくるということである。それ故、松下幸之助は、『勝負は時の運』という考えは、世の中の現実という意味では正しいかもしれないが、上に述べたような経営者にとって必ずしも良くない思考プロセスに誘導するという点で、経営者たる者の“心の持ち方”としては、不適切であり、むしろ経営者たる者は、『必ず成功すると考えなければならない』と断言するのである。

 松下幸之助は、次の様に考える。この宇宙、自然、人間社会は、すべて限りなく生成発展をしていくもの“生成発展の原理”であり、その中でわれわれは事業経営を行っているのだと考える。そうした考えからは、「経営というものは、正しい考え方、正しいやり方をもってすれば必ず発展していくものと考えられる、それが原則なのである。」(実践経営哲学p.54)との結論が導かれる。そして、「私は、基本的には企業経営はそのように外部の情勢に左右されて、うまくいったり、いかなかったりするものではなく、本来はいかなる時でも、うまくいく、いわば百戦して百勝というように考えなければならないと思う。」(実践経営哲学p.55)と述べる。こうして、経営者たる者は『必ず成功すると考えること』が不可欠だと強調するのである。

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(お知らせ)関連のブログも併せてご覧いただければ幸いです。今年100周年を迎える現パナソニック株式会社の創業者       である“松下幸之助の経営哲学”の現代の諸問題への応用として、最近の話題等をテーマにしたブログです。

      最新の記事は、「私たちは“仮想現実の世界”に生きている!5)人間の認知機能の歪み」④です。

#失敗しない経営

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