• 宮崎 勇気

6.補論①失敗しない経営:松下幸之助とリスクマネジメント30 10)“身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ” ④


6.補論①失敗しない経営:松下幸之助とリスクマネジメント30

10)“身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ” ④

 以上から、松下幸之助の“危険”、つまりリスクに対する考え方は次の通りとなる。

 平時においては、『成功の原因をつくる』と同時に、『失敗の原因を無くしていく』。その際、失敗の原因を他人や環境など外に求めるだけではなく、それらについても、さらに遡れば究極的には自分の視野の狭さや自分の考え、判断の至らなさに行き着くということ、即ち、『失敗の原因はわれにあり』ということをしっかり認識し、自分自身の内にある根本的な失敗の原因を追求し、自分を変えて行くことが重要である。そうして『失敗の原因』を予め無くして行けば、ほとんど失敗はなくなる、少なくとも“大きな失敗”はしなくなるという。

 他方、「時代が急変する場合」など“緊急事態(有事)”の場合には、「手堅さ一本」ではなく、「これ(著者注:時代の急変)に応じて思い切った手も打たなければならない」とする。“為すべきこと”は、“思い切った手を打つこと(経営改革の実行)”であって、“何もしないこと”、つまり『“為すべきこと”をしないこと』こそが、逆に『時代の急変』に遅れて、チャールズ・ダーウィンの『進化論』のいう『環境の変化に適応できずに“自然淘汰”されてしまう』という“大きなリスク”となってしまうからである。

 ピーター・ドラッカーが次の様に指摘する『無為のリスク』とは、この点を述べたものである。「事業は、リスクを最小にしなければならない。だがリスクを避けることだけにとらわれるならば、結局は無為のリスクを負うことになる。」そのような意味で、これも、リスクへの対応の究極的な類型であると言えよう。

 そして、その両者を見極めることこそ、“経営者の判断”だというのである。その判断を間違わないためには、『物事の実相』を客観的に正しく認識する必要がある。しかし、経営者が何かにとらわれていては、物事が正しく見えない。自分自身の“価値観”や“信念”を軸に物事を見ようとするため、都合の悪いことが見えなくなったり、都合のいいように歪めて見て、決めつけてしまうからである。それ故、物事の実相を客観的に正しく見るためには、“私心へのとらわれ”を克服しなければならない。だからこそ、経営者の最も基本的な心構えとして松下幸之助が強調してやまない“とらわれない素直な心”がなくてはならないとするのである。“素直な心”になって『意識転換』を図り、『なにものにもとらわれず心を空にしてものを見る』ことによって“しがらみ”を抜け出て、“物事の実相”を捉えることができるようになり、“真実に立った正しい判断”をすることができるようになる。そうした“真実に立った決断”をしたら、思い切って「空中ブランコみたいな離れ技のような方向転換」を図るのである。“真実”に基づく決断であれば、“人の心”に通じるし、“説得力”“迫力”も出てきて、道も開けるという。

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#失敗しない経営

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