• 宮崎 勇気

6.補論①失敗しない経営:松下幸之助とリスクマネジメント㉙ 10)“身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ” ③


6.補論①失敗しない経営:松下幸之助とリスクマネジメント㉙

10)“身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ” ③

 さて、これまでは、「時と場合によっては避けるべきでない危険というものもある」との前提で、そのような場合について論じてきた。それでは、目の前の危険が『避けるべきでない危険』なのか、『避けるべき危険』なのかという点については、どのようにして見極めるべきなのであろうか?

 この点について、松下幸之助は、それこそが“経営者の決断”であるとして、「ふつうの場合は、手堅くやるというのが常道でしょう。しかし、手堅さ一本でいいかというと、それだけでは対処しきれない場合があります。時代が急変する場合には、これに応じて思い切った手も打たなければいけません。手堅くてもいい場合と、急変に遅れないよう思い切った手を打たなければいけない場合と、その限界の判定が、経営者の判断であり、決断ということでしょう。」

「経営者の決断というものは、きわめて重要なものです。その決断いかんが、時には企業の存亡にかかわる~」とし、「会社経営をしていく過程には、時に、もうやめてしまいたいと思うことがある」と経営者の決断の難しさについて言及しつつも、次の様に述べている。「しかし、それだけだったら、本当におしまいになってしまう。だからやっぱりその時に意識転換をやらんとね。行き詰まりになる寸前に自分の気持ちを180度転換して、苦しみを楽しみに変えるということをやらにゃいかん。言ってみれば、経営者というものは、常に死を覚悟して、しかも方向転換する離れ技を心に描ける人でなければならない。まあいわば空中ブランコみたいな仕事ですよ、経営というものは・・・」

 さらに続けて言う。「意識の転換は、実際にはそう容易なことではない。けれども、そのようにいわば行き詰まりかけた時には、一切のしがらみから抜け出て、原点にかえるというか、何が真実かということの上に立って、改めて事態、状況を眺めてみることが大切だと思う。“真実に立つ”ということは、誠に強いもので、経営者が真実に立っていれば、社員やお得意先からの信頼が、おのずと集まってくる。真実を社員に訴えたときに3ヶ月前から豹変していると批判されても、それが真実である限りは、やはり説得力がある。便宜上言っているのでは、具合が悪いし、迫力も生まれないけれども、真実にたっての言動は、やはり人の心に通じるし、そのことがまた、自分の行き詰まりを打開する上でも極めて大

きな力になると思うのである。」

 そして、何が真実かを見極める上で、大切な心構えとして『素直な心』を挙げるのである。「その場合大切なのは、やはり、真実を見るということだと思います。そしてそのためには、個人の欲をもってものを見てはいけない。なにものにもとらわれず心を空にしてものを見るという、いわゆる素直な心が必要です。名誉にとらわれたり、世間の評判にとらわれたりしない。~そういうとらわれのない素直な心になれば、ものごとの実相、真実の姿が見えてくるものだと思います。」

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(お知らせ)関連のブログも併せてご覧いただければ幸いです。100周年を迎えた現パナソニック株式会社の創業者である“松下幸之助の経営哲学”の現代の諸問題への応用として、最近の話題等をテーマにしたブログです。最新の記事は、「私たちは“仮想現実の世界”に生きている!9)現代における仮想の世界⑮:規制緩和の実態⑤」です。

#失敗しない経営

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