• 宮崎 勇気

6.補論①失敗しない経営:松下幸之助とリスクマネジメント⑲7)自然の理法に従うこと-『素直な心を持つこと』①


6.補論①失敗しない経営:松下幸之助とリスクマネジメント⑲

7)自然の理法に従うこと-『素直な心を持つこと』①

 これまで繰り返し述べてきた通り、『失敗する経営』というものがあるとすれば、その経営者が『自分の利害や感情などの私心』にとらわれた場合がその典型例であった。そのような場合、それらの私心を“軸”として、『自分に利益となること』や『自分のすきなもの』に注目し、『自分の利益とならないこと』や『自分の嫌いなもの』への関心がなくなり、それらを認識しなくなる(“削除”)、また、その“軸”に引き寄せて物事を見るため、実際のものをありのままに見ることができず、色のついたメガネで見るように“歪曲”して見てしまう。そして、“軸”を確認して、『やはり自分の価値観や信念は正しい』と決めつけてしまう。

 このように、何かにとらわれた経営者が重要な経営判断をしようとする際、物事の実相を正しく見ることができず、とらわれていることに都合のいいように引っ張られて、誤った判断をしやすい。

 松下幸之助は、人から“経営の秘訣”を聞かれたときに、「強いていえば」と前置きしながら、“雨が降れば傘をさす”ように、“とらわれない素直な心”「天地自然の理にかなった仕事の仕方をすればよい」とし、それは“為すべきことをし、為すべからざることをしないこと”だとしている。松下幸之助は言う。「雨が降れば、ごく自然に傘をさす、それが素直な心なのである。それを意地を張って傘をささないということは、心が何かにとらわれているからである。それでは雨にぬれてしまう。経営はうまくいかない。」「雨が降れば傘をさすというのは誰にでもわかることだが、これが経営とか商売となると、いささかわかりにくくなってくる。」

 経営者が何かにとらわれていると、上に述べたように物事の実相を客観的に正しく捉えることができないために、“為すべきこと”が見えず、“為すべきこと”をしない、また、客観的に見れば無理で間違っているような“為すべからざること”を自分で勝手に“正しい”と思い込んで強引にやってしまうのである。

しかし、松下幸之助は、「経営というものは、正しい考え、正しいやり方をもってすれば必ず発展していくものと考えられる。それが原則なのである。」と述べ、「行き詰るということは、行き詰るようなものの考え方をしているからである。」と言う。

「行き詰るようなものの考え方」とは何か?

“私心”にとらわれた状態でものを考えることが、その典型例である。松下幸之助は言う。「そのときどきの自分の利益になることのみを追い求め、肯定し、損害になることはすべて忌み嫌い遠ざけ否定する、というような姿であるともいえる」「そういう、自分のことしか考えない姿というものは、往々にして他の人々の利害を無視したり、軽視したりすることにも結びつきかねません。」(「素直な心になるために」pp.125-126)「私心にとらわれて商売をしたならば、他に損害を与えても自分だけ儲けたらいいなどといった姿に陥り、世間に大きな迷惑を与えかねません。そしてそれはやがて自分自身の信用を傷つけ、みずから墓穴を掘ることにもなりかねないでしょう。」(「素直な心になるために」p.31)。

 松下幸之助は、「うまくいかない」のは、そのような“自分の利害や感情などの私心へのとらわれ”から物事の実相が客観的に正しく捉えることができず、認識する情報が“私心”によって偏ったり、歪められたりして、経営判断を誤り、その結果、「為すべきことをしないか、為すべきでないことをしているからだ。」と断言する。そのような“私心”にとらわれた心の状態というものは、言い換えれば“とらわれない素直な心”を欠いた状態である。

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#失敗しない経営

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