• 宮崎 勇気

6)パートナーの力を最大限に発揮させる(1) 共存共栄 ②


6)パートナーの力を最大限に発揮させる

(1) 共存共栄 ②

 このことは、同業他社についても同様である。“経済のグローバル化”の結果現れる苛烈なグローバル競争の下では、規模の大きい大企業が圧倒的に有利であり、中小企業などは淘汰されて行くと言われる。

 しかし、本当にそうだろうか?

 商品が“コモディティー化”して、皆が同じようなものをつくり、“同質的な競争”(例えば、価格競争)に陥ったり、大企業が原価割れの価格によって同業他社を市場から排除しようとして“過当競争”を仕掛けたりする場合には、確かに“大が中小を駆逐する”こととなろう。

 しかし、メーカーのつくるものを買う立場から見ればどうだろうか?状況は全く異なる。購入者の側から見れば、世界中どこへ行っても、“マクドナルド”や“ケンタッキーフライドチキン”、“スターバックスコーヒー”などグローバル企業の商品が買えることは、品質の面での安心感がある反面、面白味がない。いずれ“飽き”がくる。購入者は飽きっぽいのである。

 “物不足”の時代から一通り物が行き渡った世の中になると、購入者は、スケールメリットと効率化による単調な“規格品”よりも、“多様性”のある“個性豊かな”製品を求めるからである。既に述べたように、顧客のニーズは、主観化し、多様化しつつあるのだ。とすれば、規模に拘わらず、夫々の企業が自社にしかない“独自の特長や強みを活かす”ことによってそのような顧客の多様なニーズに応えることも可能となる。皆さんも、旅先でその地域の市場に足を踏み入れたときに、ずらりと並ぶ店にどんなものがあるのだろうかと胸をわくわくさせながら歩いた経験があるのではないか。それが自分の家の近くにあれば、「あそこへ行けば何か発見がある」と何度も足を運ぶことにもなる。市場全体の魅力が掛け算で大きくなるからである。こうして、それぞれの個性豊かな店が共に栄えることも可能なのである。例えば、四国香川県高松市の丸亀商店街は、個性豊かな店がたくさんあって、多くの客を集めている。

 松下幸之助は、むしろ、そのような多様な姿こそが“自然界の姿”であり、“社会においてもあるべき姿”であるとする。曰く、「いろいろな適性を持った人が、それぞれに色とりどりの花を咲かす、そういった社会の姿がより望ましいのであり、そこに人間生活の喜びというものもあるのではないだろうか。その意味において、たくさんの中小企業が、それぞれにところを得て、さかんな活動をしているというような社会の姿が一番理想的なのではないかと思う。」

 日本の中小企業の中には、グローバル競争の危機に直面しながらも、独自の技術を磨き上げ、他社の追随を許さない技術力に裏付けられた付加価値の高い製品を提供しているところが多く出てきている。確かに、価格による同質的な競争では、大企業には勝てない。また、大企業の下請けだけでは、毎年の値下げ要請にやって行けなくなる。そこで、大きく方向転換して、試行錯誤を繰り返しながらも独自技術を徹底して磨き上げ、大企業には真似のできない“尖った商品”を創り出しているのだ。例えば、飛行機のプロペラの研磨技術を活かして人工関節に転換し、従来にない進化した人工関節を作り上げたナカシマメディカルがその例である。

 従って、21世紀の企業社会の理想の姿は、大企業がグローバルに中小企業を呑み込む、あるいは、駆逐するというのではなく、それぞれの地域が“独自性”を持ち、また、それぞれの企業が“独自の技術や強み”を活かして“オンリーワン”を目指し、“世界に一つの花”を咲かせ、独自性を維持しつつ“共存共栄”していくというものであろう。これが、最近高まりつつあるグローバリズムへの批判や反グローバリズムの流れに対する解決策の一つではないかと考える。

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#共存共栄

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