• 宮崎 勇気

8.まとめ-人生も仕事もすべては“心の持ち方”次第⑨

8.まとめ-人生も仕事もすべては“心の持ち方”次第⑨

 第三に、『人間観をもつこと』である。

 松下幸之助は、「経営というものは、人間が相寄って、人間の幸せのために行う活動だと言える。」(「実践経営哲学」p.19)と捉えた。事実、経営者だけでなく、従業員、顧客や仕入先などの関係先もすべて人間である。換言すれば、経営というものは、『人間の幸せ』、即ち『物心ともに豊かな人間社会の実現』という目的のための“手段”であるということだ。目指すべきものは、売上や利益などではなく、あくまで『人間の幸せ』である。また、経営というものは、「人間が相寄って行う活動」であることから、松下幸之助は、そのように“経営”を構成する経営者、従業員、顧客、仕入先などの「人間とはいかなるものか」「どういう特質を持っているのか」ということを正しく認識しなければならないとし、そのような“人間観”を踏まえて、“正しい経営理念”、即ち経営の目的とやり方についての基本の考え方が構築されなければならないと強調するのである。

 この点、松下幸之助は、人間を『万物の王者』と捉えた。その意味するところは、人間は『すべてを支配活用する権能を有すると同時に、いつくしみと公正な心を持って一切を生かしていく責務をもあわせ負う』ということである。そして、人間は、『その天与の偉大さとそれに伴う王者としての責務を自覚し、それを実践していくことが大切なのである。』と強調する。そして、特に“経営者”についてこれを当てはめれば、経営者は『その経営体における“王者”』とであるとし、『その経営体における一切の人、物、資金などを意のままに動かす権限を与えられている』と同時に、『それらの人、物、資金すべてに対し、愛情と公正さ、また十分な配慮をもって、それぞれが最も生かされるような用い方をし、その経営体を限りなく発展させていく責務を負っているのである。』(「実践経営哲学」p.23)


 松下幸之助は、このような“人間観”の確立を踏まえて、個々の経営体における上記のような経営者としての自覚を持つところから、「“確固たる信念”に裏打ちされた力強い経営が生まれてくるのである。」(「実践経営哲学」p.23)と述べている。

 そして、「もし経営者にそうした経営体における王者としての権限と責務に対する自覚が欠けていたら、その経営は決して十分な成果をあげることはできないのである。」(「実践経営哲学」p.23)と断ずるのである。

 第四に、『使命を正しく認識すること』及び『利益は報酬であること』である。

 松下幸之助は、『限りない生成発展』ということが、自然の理法であり、社会の理法であるとし、そのような“生成発展”、つまり“その生活を物心ともに豊かで快適なものにする”ことは、人間自身の“願い”でもあるとして、「そのような人びとの生活文化の維持、向上という願いにこたえ、それを満たしていくところに事業経営の根本の役割、使命がある」とする。(「実践経営哲学」p.24)

 その上で、松下幸之助は、この『事業活動を通じて、人びとの共同生活の向上に貢献するということ』は、あらゆる企業に通ずるものであるとし、「この根本の使命を見忘れた事業経営は真に力強いものとはなり得ない。」(「実践経営哲学」p.25)と断ずるのである。

 このような考え方と異なる考え方として、『企業の目的は利益の追求にある』とする見方を挙げ、それが誤りであることを“利益についての考え方”とともに次の様に明快に指摘する。

 “利益”は、健全な経営を行っていく上で欠かせない大切なものであるが、利益自体が経営の目的ではない。“利益の追求”を目的とする企業は、「本来の使命を見忘れ、目的のためには手段を選ばないというような姿があれば、それは許されないことである。」とする。(「実践経営哲学」p.33)経営の究極の目的あるいは使命は、先述の通り、『事業を通じて人びとの共同生活の向上をはかる』ところにあり、「その使命を遂行し、社会に貢献した報酬として社会から与えられるのが適正利益だ」と考えられるとし、また、「そのような目的・使命をよりよく遂行していく上で、利益というものが手段としても大切になってくる」のであって、結果若しくは手段と目的を取り違えてはならないと松下幸之助は釘を刺すのである。(「実践経営哲学」p.33)

 松下幸之助は言う。「事業経営というものは本質的には私の事ではなく、公事であり、企業は社会の公器なのである。~その仕事なり事業の内容というものはすべて社会につながっているのであり、公のものなのである。」(「実践経営哲学」p.26)

 そのような目的・使命は、“見せ掛け”だけの“飾り物”であってはならず、日々の経営判断において、実際の判断基準となるものでなければならない。松下幸之助は言う。「その企業のあり方については、私の立場、私の都合でものごとを考えてはいけない。常に、そのことが人びとの共同生活にどのような影響を及ぼすか、プラスになるかマイナスになるかという観点から、ものを考え、判断しなくてはならない。」(「実践経営哲学」p.26)

 さらに、松下幸之助は「そういう(共同生活の向上に貢献するという)使命を現実にはたしていって、はじめてその企業の存在価値があるのである。」とし、近時世に言われる“企業の社会的責任”について、その基本は、「本来の事業を通じて共同生活の向上に貢献するということ」だと喝破した。(「実践経営哲学」p.27)それ故、「利益なき経営(赤字を出すこと)は企業の社会的責任に反する姿だといえる。」(「実践経営哲学」p.35)

 その上で、「こうした使命観というものを根底に、一切の事業活動が営まれることがきわめて大切なのである。」とする。(「実践経営哲学」p.28)

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