• 宮崎 勇気

8.まとめ-人生も仕事もすべては“心の持ち方”次第⑦

8.まとめ-人生も仕事もすべては“心の持ち方”次第⑦

 第七の例は、“失敗の原因はわれにあり”との考えに徹することである。

 何か物事がうまくいかないときに、私たちは、自分を守ろうとして、その原因を他人や環境、運など自分ではコントロールすることのできないもののせいにしがちである。「世間の景気が悪くて、おしなべてみんなが不調のときには、ともすれば眼が外に向いて、自身の反省を怠りがちとなる。」(「続・道をひらく」p.250)

 それは、自分にはどうしようもなかった、仕方のなかったことで「自分は悪くない」と自分を守ろうとする防衛本能が働くからだ。自分を守るために、物事を自分の都合のいいように“歪めて”解釈し、外に原因を見つけて自分はその犠牲となった“被害者”だと捉えるのだ。「兎角我々は、自分に都合のいいような解釈をしたがるものです。」との松下幸之助の言葉は、この点を指摘するものである。例えば、「「こういう情況だったからうまくいかなかったのだ。あんな思いがけないことが起こって、それで失敗したのだ」というように弁解し、自分を納得させてしまう。」(「松下幸之助一日一話」p.188)あるいは、「こう不景気では・・・というわけで、責任を世間に転嫁して、自分の不調を安直にかたづけてしまう。つまり、自分は悪くないのである。」(「続・道をひらく」pp.250-251)という具合である。

 そこで、「人間というものは、まことに勝手なもので、自分で自分をよほど注意していないと、とかく責任を他に転嫁して、安易な納得におちいりがちとなる。」(「続・道をひらく」p.251)という結論となる。しかし、松下幸之助は、「当然負うべき責任を他に転嫁するようなところからは、決して進歩発展は生まれてこないと思うのである。」(「思うまま」p.188)と断言するのである。

 うまく行かないときに他に責任を転嫁するという考え方は、自分自身の中にある原因に気づかず、学ぶことがなく、成長もない、また、自分の中にある原因に手も打たれないため、次に同じ状況が生まれたときにもまた、同じ失敗を繰り返すこととなる。「その失敗の経験が生きてこない。」また、うまく行かないときに他に責任を転嫁するという考え方は、それだけ他に依存していることに通ずる。他に依存し、自ら決定することができないのである。松下幸之助は、そのような“弱い自分”を“無力な将棋の駒”と表現し、そのような人生はつまらないではないかと排し、自分の人生は自ら考えて決定し行動するという“主体的に生きる”ことを選択したのであった。そこから感激感動も生れてくるのだと。

 先に述べた『必ず成功すると考えること』から、「経営というものは、正しい考え、正しいやり方をもってすれば必ず発展していくものと考えられる。」とすれば、うまく行かないときには、その原因は、自分が正しい考えを持っていなかったか、正しいやり方をやっていなかったかのいずれか、いずれにせよ、その失敗の原因は自分自身にあるということになる。『必ず成功すると考えること』『失敗の原因はわれにあり』という考え方は、表裏の関係にあると言えよう。

 松下幸之助は、こうして「失敗の原因はわれにあり」との考えに徹することが大切だとする。曰く、「何か失敗したり、問題が起こったりすると、だれでもその原因をとかく外に求めがちである。だれが悪い、彼が悪い、あるいは社会が悪い、運が悪いといった具合である。しかし、実際は、ほとんどの場合失敗の原因は自分にあると思う。事前に十分な計画をたて、行う過程でも慎重な配慮を怠らなければ、たいていのことはうまくいくものである。まして指導者ともなれば、ほとんど100%その責任を自分に帰さなくてはいけないと思う。」(「指導者の条件」pp.54-55)


 また、物事がうまくいかない場合には、「もうひとつ深く反省して、なすべきをなしていたなら、今こういうことを話し合う必要もなかったのだ、ということを考えねばなりません。それを深く反省し、気づくか気づかないかが、スムーズに発展するかしないかということに結びついていくのではないかと思うのです。事業というもの、仕事というものは、つまずくことはあり得ない。それがあるということは、それにふさわしい時々の反省、用意周到さに欠けるところがあるからだということを、はっきりと自覚してやっていくことが大事だと思います。そうすれば失敗は半減すると思うのです。」(「道は無限にある」)

 世の中の凡庸な経営者は、うまく行かないときに他人や環境のせいにするが、松下幸之助は、違った。曰く、「物事がうまく行った時は、『これは運がよかったのだ』と考え、うまくいかなかった時は、『その原因は自分にある』と考えるようにしてきた。つまり、成功は運のせいだが、失敗は自分のせいだということである。」(「実践経営哲学」pp.55-56)

 そして、松下幸之助は、この『失敗の原因はわれにありとの考えに徹する』ことを生涯続けたという。松下幸之助は、次のように述べている。「しかし、それ(筆者注:自己慰安)だけではいけません。それと同時にもう一つ深い原因は自己にあるという反省をしなければならないと思います。実際、何かうまくいかないことがあったとき、あとからよく考えてみますと、“あのとき、こういうことをしておけばよかったのに”とか“ああいうことはやる必要のなかったことだった”とかいったことが次々に出てくるものです。深く反省することによって、そういうことに気がつくかつかないか、そのことが企業が順調に発展していくかどうかに大きくかかわっていると思います。」(「経営のコツここなりと気づいた価値は百万両」pp.72-73)

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