• 宮崎 勇気

8.まとめ-人生も仕事もすべては“心の持ち方”次第 36

8.まとめ-人生も仕事もすべては“心の持ち方”次第 36


 第三に『相手に寄り添い共感する』ということである。まず『他人との比較』を止めることを村松氏は奨める。『他人との比較』、つまり他人を意識することは、自分を認めてほしいという気持ち(認定欲)の表れであり、自分が本当に望むべき自分発振を著しく妨害し、分散させてしまうからだという。それは、他人との競争という低い周波数帯に入ってしまい、前向きなフォトンがなくなっていく。その上で、『相手に寄り添い共感する』ことが大切だと言う。類似の概念に『他人への思いやり』があるが、これはあくまで主体が自分にあること、自分の目線から相手を見て感じることであるのに対して、“共感する”というのは、主体が相手にあり、相手の中に入り込み、相手の目線で感情を共有することを言う。そうすると、周波数の高い“寄り添いフォトン”が飛ぶと言う。


 このように他人の言動に影響されず、相手に共感して、“寄り添いフォトン”を発振するために、村松氏が推奨するのは、『自分発振日記』をつけることだ。これは、他人から酷い扱いをされたとか、大変な思いをしていると思ったとき、つまり、自分の発するフォトンの周波数が低下しているときに、自分がどんな発振をしているのかを4つのプロセスで『相手と自分の関係』及び『自分と自分の関係』を客観的に見直し、改善していくものだ。(詳細については、村松氏の前掲書をお読みください。)


 松下幸之助は、「お客様大事の心に徹する」ということを経営理念の一つとして挙げ重視したが、それを実践する際の最大の障害は、『自分が一番可愛い』と考える人間の心の弱さ、即ち“私心へのとらわれ”であった。そのことをいち早く見抜いていた松下幸之助は、将来、会社の規模が大きくなったときに、そのような人間の心の弱さから経営者を初め社員たちが奢り、傲慢になって、「お客様大事の心」を忘れてしまうことを懸念し、1935年に作られた「松下電器基本内規」の第15条の中で、次の様に警告を発していた。「松下電器カ将来如何ニ大ヲナストモ 常ニ一商人ナリトノ観念ヲ忘レス 従業員又ソノ店員タル事ヲ自覚シテ質実謙譲ヲ旨トシテ業務ニ処スルコト


 ここで言う“一商人なりとの観念”には、三つの意味があるとされる。第一に、“商売の本質”“商人の使命”がわかっているということ、そして、その上で“収支を立てること”、第二に、“お客様の心が読める”、即ち“相手の立場に立って考える”こと、第三に、“感謝の心、謙虚な気持ちを忘れない”ことである。


 2つ目の“相手の立場に立って考える”とは、“自分の立場”に立ったままで顧客の求めるものを考えるという場合とは異なる。“自分”というものが残っている限り、“私心へのとらわれ”から、“自分の利害や感情”を軸とした“削除”“歪曲”“一般化”の認知のメカニズムによる影響からは逃れられないからである。即ち、自分の得となる情報や好きな情報に焦点を当て、逆に自分の損となる情報や嫌いな情報は、“お客様の為になる”情報でも、認識から削除してしまう。そして、自分の損となる情報や嫌いな情報は、“お客様の為にならない”とか、“コストがかかり過ぎる”などと、自分の利害や感情に都合のいいように“歪めて”評価・解釈し、数少ない情報だけで、そういうものだと決めつけてしまうのである。それは、松下幸之助のいう“相手の立場に立って考える”ことではない。


 松下幸之助が『お客様の心が読める』と言った通り、これは、完全にお客様の立場に成り切って、つまり“自分の立場”を離れ、“自分の利害や感情”などの“私心”から離れて、お客様と一体になった上で、お客様の“フィルター”を通して、見て、聞いて、感じ、その求めるものを把握することを意味している。それは、まさに村松氏の言う『相手に寄り添い共感する』ことそのものであり、『共感する』ことによって、周波数の高い“寄り添いフォトン”が飛ぶこととなる。


 実は、私たち人間は誰もがそのような他人の視点から自分を眺めることができる能力を持っているとされている。東京大学大学院薬学系研究科の池谷祐二準教授によれば、人間の脳には、“体外離脱体験”(心が身体の外にワープして宙に浮かぶ)を生じさせる脳の部位と神経回路が実際にあり、そこからさらに自分の視点を体外に置く、あるいは、他人の眼差しを内面化できるという。(「単純な脳、複雑な私」池谷祐二著pp.191-195)また、実際、前述した神経言語プログラミング(NLP)の手法の中には、「立場を利用したリフレーム」という技術があり、相手の立場から見ることができる。

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