• 宮崎 勇気

8.まとめ-人生も仕事もすべては“心の持ち方”次第③

8.まとめ-人生も仕事もすべては“心の持ち方”次第③


 こうして、松下幸之助は、人生における“心の持ち方”を自ら選んだのである。それらは、後述する経営における経営者の“心の持ち方”に共通するもの、あるいは、それに通ずるものを含んでいる。以下では、その具体例を紹介する。


 第一の例は、“主体的に生きる”ことである。


 この反対は、“受け身で生きる”ことだ。それは、外部に生ずる現象に反応していく生き方、言い換えれば、他人の言動や環境の変化に依存して、自らの考えや行動を決めて行く生き方である。このような生き方の下では、何かうまく行かないことが起こっても、それらはすべて他人や環境のせいだということになり、自分は悪くないといういわば“被害者意識”を持つこととなる。この場合、自分は被害者であるから、自ら目の前の問題を解決しようとはしない。誰かが解決してくれるか、環境が変わるのを待つほかないということとなる。


 しかし、松下幸之助は、このような受け身の人生を排する。“受け身で生きる”ことは、うまく行っても他人や環境のおかげとなって、そこには感激感動もなく、面白くないし、うまく行かないときには、他人や環境のせいにして、自分を被害者にして、また、自ら解決する力のない弱者として自らを低くみなし、実際に解決しようとせず、解決できない。それは、“無力な将棋の駒”のようなものだというわけである。


 松下幸之助は、人生は、九割以上が“宿命”で、自分ではコントロールできないものであり、残りの一割に満たない部分だけが、人間がコントロールできる部分であると考えた。そして、この人間に与えられた10%の枠内においては、「主体的に生きる」こと、即ち、他者の決定に依存したり、あるいは、自分の“心の弱さ”に負けて諦めたりしない、自分でコントロールして行く、そのために自ら主体的に考え、行動していくことを“選択した”のである。その上で、その“結果”については、自らが決めたこと故、すべて自分が“責任”を持つのである。


 松下幸之助の人生や仕事に対する考え方は、すべてこの“主体的に生きる”という考え方がその基礎となっている。曰く、「人生においても仕事においても、あくまでも自分自身が主人公であり、受身ではなく、主体的に生きてこそ、感激感動も生まれてくるということである。」自ら主体的に考え、行動したからこそ、良い“結果”については、感激や感動も生まれるし、逆に、悪い“結果”についての責任は、他の誰でもない自分が持たなければならないと納得できる、そして、そこから翻って最初から考え行動するに際して本物の“覚悟”と“責任感”が生まれてくるのである。そして、この本物の“覚悟”と“責任感”を予め持つということが、その後の自分自身の考え方と行動を全く違ったものに自律的に変えて行くのだ。この“主体性”と“覚悟”若しくは“責任感”とは、不可分のものである。


 言い換えれば、自分の人生は、自分に与えられ、自分ではコントロールすることのできない“宿命”を前提としつつも、その与えられた“宿命”というキャンバスに何を描くのか、その目標は自分で自由に設計することができるし、どのように考え、行動するのかを“選ぶ”ことができる(“選択の自由と能力”がある)。そのことを明確に認識し、自らの意思で何を目指すのかの目標を“選択”していくのだということを決意し、実際に具体的な目標を立ててそれを実行していく、その上で、人生で自分の身に何が起こったとしても、その出来事の原因は、すべて選択した自分以外にはないのだということを自ら覚悟し、その“責任”を予め受け入れるということである。


 それは要するに、自分に起きる出来事は、すべて自分の意識の範囲内のことだと自覚して、自分の人生について“責任”を持つこと、つまり“責任者としての意識”を持つということである。自ら望む結果は、自分で作り出すし、自ら考え行動した結果自分に生じたことについては、すべて自分の責任だと受け入れるということ、一言で言えば、“人事を尽くして天命を待つ”ということである。これこそが松下幸之助の生き方であった。松下幸之助は言う。「自らの意識や行動の如何によっては、与えられた運命の現れ方が異なってくる。“人事を尽くして天命を待つという諺があるが、お互いの生き方次第、人事の尽くし方次第で、自分に与えられた運命をより生かし、活用できる余地が残されていて自分のこれまでの生き方も、知らず識らずのうちに、自分に与えられた運命をある程度生かすものだったのではないかと思う。」(昭和37年)

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