• 宮崎 勇気

8.まとめ-人生も仕事もすべては“心の持ち方”次第②

8.まとめ-人生も仕事もすべては“心の持ち方”次第②


 ただ、通常は、悲観的な人は、ほとんど自動的に悲観的な心の持ち方、そして悲観的な物の見方を選んでしまっており、選択したことすら気づかない。他の選択肢が見えないのである。それは、幼児期から子供、そして大人へと成長していく過程における親や学校の教師の言葉や自らの体験などから、心の中に悲観的な信念が生まれ、それが何度も上書きされて、“悲観的な心の持ち方”として潜在意識のレベルに固定されてきたからである。それは、いわば心のソフトウエアであって、外部からの同じ刺激に対しては、いつも同じ反応を示すのだ。他の選択肢は見えないから、選びようもない。

 

 あるいは、心の中に何かの“とらわれ”があると、その“とらわれ”ていることから離れられず、いわばそれを“軸”として対象を選択して、見て、そして考えることとなる。人は誰でも自分が一番可愛い。自分が一番大切である。自己中心的な考えに陥りがちである。そのため、人は自分の利害や感情などの“私心”にとらわれがちである。そのことが、人生や仕事において、様々な失敗を招く原因となっているのだと言う。「人間だれしも自分が大事であり、可愛いものである。~しかしそうした自分の利害とか感情にとらわれてしまうと、判断を誤ることもあるし、また力強い信念もわいてこない。」(「指導者の条件」p.77)「ついつい目先の自分の利害得失に心奪われ、それにとらわれて物事を考え、判断を下し、行動をとっていくことになりかねない」(「素直な心になるために」p.125)あるいは、「物事を見、考える際に、ともすれば感情にふり回されるというか、感情にとらわれて事をあやまることが多くなるのではないかと思います。」(「素直な心になるために」p.130)、「とかく意欲や欲望にとらわれがちとなり、また、何かの必要に迫られて心に余裕がなくなって、ついつい無理をしてしまうことになりやすくなる」(「素直な心になるために」pp.138-140)


 つまり、人間は“私心”にとらわれると、それ以外のことを認識と考えから“削除”してしまう、あるいは、仮にそれらを見たとしても、その軸に引っ張られて、それに都合よく歪めて(“歪曲”)見て、考え、そして、決めつける(“一般化”)のである。要するに、人は自分の見たいものを見たいように見て決めつける、また、自分の考えたいものを考えたいように考えて決めつけるのである。例えば、自分の好きなことや得をすることばかりを見て、考え、嫌いなことや損をすることを見ず、考えようとしなくなるからである。


 このように心に何らかの“とらわれ”があると認識の上で“削除”が生じるということについて、松下幸之助は次の様に述べている。「自分の考えにとらわれ、視野も狭くなって、往々にして独善の姿に陥りかねない」(「素直な心になるために」p.150)「物事のさまざまな面を見、考えることができず、単に一面のみを見てそれにとらわれるといった姿に陥ることにもなりかねません。」(「素直な心になるために」pp.136-137)


 また、心に何らかの“とらわれ”があると認識の上で“歪曲”が生じるということについて、松下幸之助は次の様に述べている。「人間は、心にとらわれがあると、物事をありのままに見ることができない。たとえて言えば、色がついたり、ゆがんだレンズを通して、何かを見るようなものである。かりに、赤い色のレンズで見れば、白い紙でも目には赤くうつる。ゆがんだレンズを通せば、まっすぐな棒でも曲がって見えるだろう。そういうことでは、物事の実相、真実の姿を正しくとらえることができない。だから、とらわれた心で物事に当たったのでは判断をまちがえて、行動をあやまつことになりやすい。」(「実践経営哲学」p.161)「自分なりの知識、学問・・・自分の欲望や利害得失・・・一つの主義、思想というようなさまざまな色ガラスやゆがんだガラスをとおして物事を見、考えている場合が非常に多いのではないかと思います。しかし、そういった自分なりの意見とか感情にとらわれてしまっては、本当の色、ありのままの形というものはやはり見えないと思います。」(「素直な心になるために」p.44)


 松下幸之助は、このような様々な“とらわれ”から脱し、視野を広げて他の選択肢を見出すためには、“とらわれない素直な心”が必要であり、これこそが経営者たる者の最も基本的な“心の持ち方”(心構え)であるとするのである。自分の利害や感情などの“私心”にとらわれて、経営判断を誤り、会社を倒産させた多くの経営者を松下幸之助は見てきたからである。ここで“素直な心”とは、「自分の利害や感情、知識、先入観、固定観念にとらわれず、物事をありのままに見ようとする心」をいう。このような“素直な心”を持つことによって、“とらわれ”から脱して、視野が広がり、世の中の実相を客観的に見ることができるようになるという。そうして初めて、他の選択肢が見えるようになり、それを“選ぶ”ことができるようになるのである。

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