• 宮崎 勇気

8.まとめ-人生も仕事もすべては“心の持ち方”次第⑮

8.まとめ-人生も仕事もすべては“心の持ち方”次第⑮

 第十二に、『時代の変化に適応すること』、そして『日に新た』である。

 人間は、一度何らかの理由で成功すると、その成功したやり方を変えることは難しい。そのやり方にとらわれるとともに、新たなやり方に挑戦することにより失敗するリスクを恐れるからである。


 しかし、時代の変化とともに経営環境も変化する。とすれば、一度成功したやり方や商品も、経営環境(顧客のニーズの変化など)が変われば、もはや通用しなくなってしまうこともある。


 ところが、自分の今日の成功生み出したと信じ込んでいるビジネスモデルや商品を変えることができず、あくまでそれをベースとして“改良する”ことで顧客のニーズに応えていこうとする。(“持続的イノベーション”)そのような企業には、顧客の求める新たなニーズが見えないか、見えても成功した今の商品に比べれば小さく見えてしまう。あるいは、失敗するリスクを恐れ、また、仮に成功しても、従来の製品のシェアを食ってしまう(“カニバリズム”)だけだと考える。そうすると、従来商品の価値を破壊して全く新しい価値を生み出す、いわゆる『破壊的イノベーション』をやろうとはしなくなる。このような傾向をハーバード・ビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授は、『イノベーションのジレンマ』と呼んだ。

 松下幸之助は、『経営理念』はいつの時代にも通じる、不変のものであるが、「その経営理念を現実の経営の上にあらわすその時々の方針なり、方策というものは、一定不変のものではなく、その時代時代によって変わっていくのでなければならない。いいかえれば、日に新たでなければならない。」(「実践経営哲学」p.101)と述べ、「長い歴史と伝統を持った“しにせ”といわれるところが、経営のゆきづまりに陥ることがある」が、それは「かつて成功した昔ながらのやり方を十年一日のごとく守っているというような場合も少なくない」とし、「今日の時代にそぐわないものは次々に改めていかなくてはならない。」(「実践経営哲学」pp.102-103)と強調する。

 このように『時代の変化に適応すること』を松下幸之助は経営者に求めたが、それができないのは、やはり自分の利害や感情、知識、成功したやり方などにとらわれていることが原因であり、そのために自分のメガネに色がついたり、歪んだりして、“時代の変化”を正しく客観的に認識することができないからである。


 それ故、“日に新た”を実践するためには“とらわれない素直な心”が不可欠だと松下幸之助は強調するのである。曰く、(素直な心になれば)「現状にとらわれることなく、常に何が正しいか、何が望ましいかということがおのずと考えられ、日に新たなものを生み出していくことができるようになる。」また、「どんな情勢の変化に対しても、柔軟に、融通無碍に順応同化し、日に新たな経営も生み出しやすい。」(「実践経営哲学」p.164)

 松下幸之助は、実際の経営においても、文字通り“日に新た”の実践を求めた。ある技術者が、苦労して開発した新製品の報告に来て、滔々とその開発の経過とその新製品の素晴らしさを説明し終わったときに、松下幸之助は、「そうか、ご苦労やったな。明日からはこの商品を超える新商品を開発してくれ。」と求めたのである。

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