• 宮崎 勇気

8.まとめ-人生も仕事もすべては“心の持ち方”次第⑬

8.まとめ-人生も仕事もすべては“心の持ち方”次第⑬

 第十に、『人をつくること』である。

 松下幸之助は言う。「経営というものは、人間が相寄って人間の幸せのために行う活動だと言える。」(「実践経営哲学」p.19)とし、従業員の育成の重要性を強調する。曰く、「経営の組織とか手法とかももちろん大切であるが、それを生かすのはやはり人である。どんなに完備した組織をつくり、新しい手法を導入してみても、それを生かす人を得なければ、成果もあがらず、したがって企業の使命も果たしていくことができない。企業が社会に貢献しつつ、みずからも隆々と発展していけるかどうかは、一にかかって人にあるともいえる。」(「実践経営哲学」p.77)現代に流行りのMBA流の経営に恐らく最も欠けているのは、この人という視点であろう。左脳的な論理だけでは人はついてこないし、松下幸之助が指摘するように、人間というものは、その“気分”次第で、その知恵や工夫、そして行動などのパフォーマンスは天と地ほども違ってくるものなのである。

 それ故、松下幸之助は、『物をつくる前に人をつくる』ことを強調し、「いい製品をつくることが会社の使命ではあるけれども、そのためにはそれにふさわしい人を作らなければならない。そういう人ができてくれば、おのずといい物もできるようになってくる。」(「実践経営哲学」p.78)

 そして、人を育てるためには、「『この企業は何のためにあるのか、またどのように経営していくのか』という基本の考え方、正しい経営理念、使命観というものをその企業としてしっかり持つことである。」(「実践経営哲学」pp.78-79)「そのような会社としての基本の考え、方針がはっきりしていれば、~それに基づいた力強い指導もできるし、またそれぞれの人もそれにしたがって是非の判断ができるから、人も育ちやすい。」(「実践経営哲学」p.79)

 この『経営理念』については、「従業員に対しては常にそのことを訴え、それを浸透させていくことである。」とし、「単に紙に書かれた文章であっては何にもならない」という。「それが一人ひとりの血肉となって、はじめて生かされてくるのである。」(「実践経営哲学」p.79)と強調する。

 また、人の育て方として、「何でもあれこれ命令してやらせるのではいけない。」とし、「それでは言われたことしかしない人ばかりになってしまう。」から、「やはり仕事は思い切ってまかせることである。」と強調する。それは、「自分の責任と権限において自主性を持った仕事ができるようにしていくこと」『経営のわかる人』『経営的な感覚を持って仕事をできる人』を育てるためである。(「実践経営哲学」pp.80-81)

 松下幸之助は、さらに『経営的な感覚を持って仕事をできる人』をつくるために、“社員稼業”という考え方を社員に提案した。これは、社員自身の“心の持ち方”を変えることによってその“意識”を変える、つまり、自分を“単なる一社員”とみるのではなく、自分の担当する業務を“一つの事業”と捉え、自分を“その事業の経営者”とみなすことによって、“経営者としての意識”を持つことができる、そうして“経営者としての意識”を持つことができれば、物の見方や考え方も“経営者としての物の見方・考え方”に変わって行き、その“行動”も変わり、仕事の“結果”も全く違ったものとなってくる。

 また、松下幸之助は、“愉快に働く”ことを社員に求めた。これは、社員自身が“いい気分”で仕事を楽しむことによって、社員個人の能力を最大限に発揮することにつながる。曰く、「自分として今一番に深く考えていることは、大勢の従業員諸君が、毎日を愉快に働いておられるかどうかという点である。願わくは一人残らず、その日その日を愉快に働いてもらいたい。そのときに真に会社の発展も各人の向上も望みうるのである。・・・会社のためにも、自分自身のためにも、愉快に働けるようにひたすら心掛けていただきたいと痛感する次第である。」(1939年4月13日朝会にて)

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      「松下幸之助、パナソニックの惨状に現経営陣を叱る!②」です。

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