• 宮崎 勇気

8.まとめ-人生も仕事もすべては“心の持ち方”次第⑪

8.まとめ-人生も仕事もすべては“心の持ち方”次第⑪

 第八に、『世間は正しいと考えること』である。

 松下幸之助は言う。「企業活動はいろいろな形で、直接間接に世間大衆を相手に行われている。その世間大衆の考えるところ、行うところをどのようにみるかということは企業経営の上できわめて大切である。」そして、それを肯定するか、否定するかで2つの相反する考え方を示す。「世間はいいかげんで信用できないものだと考えれば、経営はそれに則したものになっていくし、世間は正しいと考えれば、世間の求めに応じた経営をしていこうということになる。」

 世間と言っても、「実際に個々にみればいろいろな人がいて、人間である以上、その判断が常に正しいとはいえない。」「また、いわゆる時の勢いで、一時的に世論があやまった方向へ流れるということもある。」「それで、そうした個々の姿だけを見て、世間というものは往々にしてあやまつものだというように考えてしまうと、何を頼りにして経営を行っていけばいいのか非常に不安であり、いたずらに心を労し、頭を疲れさせるといったことにもなりかねない。」「もし世間の判断というものがいいかげんなもので、正しいものを正しいとして認めてくれなかったら、~いかにわれわれが正しい経営努力を重ねても、それが世間から受け入れられなかったら、まことに頼りないというか、やり甲斐のないことになってしまう。」(「実践経営哲学」pp.49-51)

 それでは、『世間は正しいと考えること』を妨げるものは何であろうか?

 様々な要因があろうが、特に重要なものは、松下幸之助が最も警戒し、多くの経営者を事業の失敗に引き寄せた『自分自身の利害や感情などの私心へのとらわれ』であると言えよう。自分が得をすることや好きなこと、楽しいことばかりに目を奪われ、その逆のこと、自分が損をすることや嫌いなこと、苦痛であることを無視、軽視する。例えば、世間の声が後者である場合には、世間の声は耳に入らない、聞きたくない、聞いても自分の都合のいいように歪めて解釈してしまうのだ。例えば、自社の製品や技術、ビジネスモデルなどに自信のある経営者ほど、世間の考えや行動を無視あるいは軽視して、独善的な考え方ややり方に傾斜していくという傾向がある。その結果は、世間大衆、つまり(潜在)顧客の支持を得られず、商品は売れず、失敗することとなる。経営の失敗の一つの典型的なパターンであると言ってよい。

 しかしながら、松下幸之助は「私は世間は基本的に神のごとく正しいものだと考えている。」と肯定する見解に立ち、「一貫してそういう考え方に立って経営を行ってきた。」と断言する。その理由として以下を挙げている。「しかし、そのように個々には、あるいは一時的にはあやまつことがあっても、全体として、長い目で見れば、世間大衆というものは神のごとく正しい判断を下すものだと私は考えている。」(「実践経営哲学」p.50)

 そして、このような“世間の声”の作用について次の様に述べている。「だから、われわれの経営のやり方にあやまったところがあれば、それは世間から非難されたり、排斥されたりすることになる。そのかわり、正しい経営をしていれば、世間はそれを受け入れてくれるわけである。そのように考えると、そこに一つの大きな安心感が起こってくる。」(「実践経営哲学」p.50)

 『限りない生成発展』という“自然の理法”“社会の理法”が働く社会の中で私たちは事業経営を行っていることを前提として、松下幸之助は次の様に述べる。「その社会を形成している大衆の求めるところも、基本的にはそれからはずれるものではない。だから、そういうところに立脚して“何が正しいか”を考えつつ、その正しいと考えるところ(筆者注:“なすべきこと”を行っていくならば、それは基本的には世間から受け入れられるものと考えられる。」「そしてまた、私の実際の体験からしても、やはり世間は正しいことは正しいとして受け入れてくれるものである。」(「実践経営哲学」pp.51-52)

 そして、松下幸之助は次の様に結論づけるのである。「そのように世間は正しいと考え、その正しい世間に受け入れられるような仕事をしていくことを心がけていくところに、事業発展の道があるのである。」(「実践経営哲学」p.53)裏を返せば、“世間の声”は“神のごとく”正しいものとして迷うことなく信頼して、私心にとらわれがちな『己に克つ』ことである。松下幸之助が“神のごとき”と表現したところに、私たち人間の知識や知恵、ましてや“私心へのとらわれ”をはるかに越えた正しいものであることが示唆されている。

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