• 宮崎 勇気

8.まとめ-人生も仕事もすべては“心の持ち方”次第⑩

8.まとめ-人生も仕事もすべては“心の持ち方”次第⑩

 第五に、『自然の理法に従うこと』である。

 「経営の秘訣は何か」と問われた際に、松下幸之助は「強いていえば、“天地自然の理法”にしたがって仕事をしていることだ。」と答える場合がある。

 ここで『天地自然の理にしたがった経営』とは、“生成発展の原理”に従って『なすべきことをなし、なすべからざることをしないということ』であり、それにつきるとし、「なすべきことをキチンとなしていれば、経営というものは必ずうまくいくものである。」と断ずる。ここで“なすべきこと”とは、具体的には、「いい製品をつくって、それを適正な利益をとって販売し、集金を厳格にやる」ということであるとする。

 ところが、実際の経営となると、その通りやらない場合も出てくるというのだ。例えば、人びとの真に求めるいい製品をつくらなかったり、原価割れの価格で売ったり、集金を怠ったりする。これらは、「人間の小さな知恵才覚だけで考えてやったもの」で、すべて「なすべきことをなしていない姿であり、それはすなわち天地自然の理に反した姿である。」とし、「経営の失敗というのは、すべてそういうところから出ているといってもいいであろう。」と断ずるのである。(「実践経営哲学」pp.31-32)

 第六に、『共存共栄に徹すること』である。

 企業が事業活動をしていくには、仕入先や販売先、最終顧客、株主、債権者、地域社会など様々な利害関係者が必要である。そのような中で『自分の会社だけが栄えればいい』という考え方で企業経営を行うこと、特に「それらの利害関係者の犠牲において自らの発展をはかるようなこと」は「許されないこと」であるだけでなく、一時的にはうまく行っても、長続きせず、「それは結局自分をも損なうことになる。」と松下幸之助は言う。また、そもそも事業経営の目的は、先に述べた通り、『人間社会の発展』にあるのであり、「企業は社会の公器である」から「自社の事業活動によって、社会もまた栄えていくということでなくてはならない。」「やはり、ともどもに栄えるというか、いわゆる共存共栄ということでなくては、真の発展、繁栄はあり得ない。それが自然の理であり、社会の理法なのである。自然も、人間社会も共存共栄が本来の姿なのである。」(「実践経営哲学」p.42)とする。

 例えば、コストダウンのために仕入先に対して値下げを要望する場合にも、「値段を下げても、なおかつ先方の経営が成り立つ、いいかえれば、先方の適正利潤が確保されるような配慮が必要なのである。」(「実践経営哲学」p.43)「商品の販売を担当する得意先に対しては、こちらも大いに勉強するとともに、やはり必要な適正利益をとってもらうようにする。同時に需要者にも適正な価格で買ってもらえるように、商品政策、販売政策を考えていく。」(「実践経営哲学」p.44)

 そして、松下幸之助は言う。「まず相手の利益を考える、というといささかむずかしいかもしれないが、少なくとも、こちらの利益とともに相手の利益をも同じように考えることである。それが相手のためであると同時に、大きくは自分のためにもなって、結局双方の利益になるわけである。」(「実践経営哲学」p.45)

 「すべての関係先との共存共栄を考えていくことが大切であり、それが企業自体を長きにわたって発展させる唯一の道であるといってもいい。」(「実践経営哲学」p.43)

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