• 宮崎 勇気

9.あとがき

9.あとがき


 本ブログでは、松下幸之助の経営哲学の概念相互の関係や構造を明らかにすることによって、その全体象を浮かび上がらせるとともに、夫々の概念を掘り下げ、その効果とプロセス、さらには効果が実現するメカニズムに迫ろうと試みた。それは、松下幸之助の経営哲学を語る類書には見られない独自の視点からのアプローチと成果だと自負している。それも、読者の皆さんに松下幸之助の経営哲学の真の意義と効果をお伝えし、それを松下幸之助自身が実践していたのと同じように実践していただき、その効果を実感していただきたいと願ったからである。


 松下幸之助の経営哲学は、人間の“心の力”を最大限活用することによって、「人間の本質を活かす」という点、また、それが“理論”や“論理”から生まれたものではなく、松下幸之助自身の“体験”と“直観”から生まれたものであるという点において、一般的な経営哲学とは全く次元の異なる内容と“実践的効果”を有するものである。


 ただ、そのような人間の“心の力”を真に活用するためには、松下幸之助の経営哲学を単に頭で知識として知っているというだけでは、不可能であり、実際の効果は生まれない。そのためには、松下幸之助の経営哲学上の様々な概念について、自身が深く納得した上で、自身の“強固な信念”にまで高めるプロセスが不可欠である。


 ところが、このように、“生成発展”や“人間の無限の可能性”等一般常識とは異なる概念を信念とするというプロセスが、人に神や仏への信心を求める宗教に似ているとして、“宗教的だ”とか、“松下教だ”、“洗脳だ”などという批判を受けることがある。その部分だけを表面的に理解すれば、そのようにも見える。


 しかし、松下幸之助は、既に述べた通り、必ずしもそれらが“科学的真実”として常に100%正しいと言っているわけではなく、そのような考え方も一応成り立つことを前提として、そのように考える(そのような“心の持ち方”を選ぶ)ことによって、自分にとってより役に立つ方向に物の見方や考え方が変わるという“実際の効果”があることに着目して、そうであるならば、それを“選択”すればよいではないかと提案しているのである。それは「人生も仕事も、心の持ち方次第だ」という自身の体得した“より良い人生を送る知恵”“より良く仕事を行う知恵”であった。


 松下幸之助の経営哲学は、妄信すべきものでもなければ、他人に強要すべきものでもない。そのようなことを仮にやったとしても、それらが“強固な信念”にまで到達することは決してなく、本人の元々の信念は変わらないから、“考え”も“行動”も変わらず、それが意図する実践的な効果も生まれない。


 松下幸之助の経営哲学は、その内容を体系的に理解するとともに、その“実践的な効果”とそれを生み出す“メカニズム”をも理解した上で、自分に役立つものとして“納得し”、“自ら選択し”た上で自身の“強固な信念”とし、実践すべきものである。そうすれば、その効果を実感することができるので、先に述べた疑問も、解消されるであろう。それは、“神”や“仏”を信ずるもの(“宗教”)ではないし、本人の意図に反してその信念を変更するもの(“洗脳”“催眠術”)ではないからである。この点を明らかにすることも、本ブログの狙いの一つであった。


 松下幸之助の経営哲学の全体象を明らかにするとともに、夫々の概念を掘り下げ、その効果とプロセス、さらにはメカニズムに迫ろうとの本ブログの目的が、どれだけ達成されたかは、読者の皆様の評価を待ちたい。もしそれが十分に達成されていないとすれば、その責任は、著者の力不足にある。ただ一方、本ブログでは、量子力学の観点からも松下幸之助の経営哲学の解明を試みたが、人間の心や脳、遺伝子、潜在意識や信念などについて、その機能やメカニズム、相互の関係を含め、その全貌が現時点ですべて科学的に解明されているわけではないことも事実である。


 しかし、21世紀は、“こころの世紀”とも言われ、認知脳科学や神経科学など、これらの人間の心や脳、遺伝子、さらには潜在意識などの分野についての研究が急速に進展しつつある。それらの成果によって、近い将来松下幸之助の経営哲学の全貌がさらに明らかになることを期待したい。


 いずれにせよ、松下幸之助の経営哲学は、21世紀において事業経営に成功するために不可欠の経営哲学として蘇ることを確信している。松下幸之助自身が強調するように、「経営は人間が人間のために行うもの」であり、“人間の本質”が変わらない限り、そのような“人間の本質”を活かしていこうとする松下幸之助の経営哲学は、経営に不可欠のものとして不変であるからである。本書は、その先駆けとしての意義を有するものと考えている。

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      題への応用として、最近の話題等をテーマにしたブログです。最新の記事は、       「松下幸之助、パナソニックの惨状に津賀一宏社長を叱る!28」です。

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