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松下幸之助の経営哲学-その真髄の理解と実践のために-

世の中に優れた経営者と言われる人は多くいますが、”経営の神様”と言われたのは、松下幸之助だけです。なぜでしょうか?それは、卓越した観察力で様々な人々を観察する中で、人間の”無限の可能性”と現実の姿としての”心の弱さ”という相矛盾する本質を発見し、そして、それらの双方の本質を共に活かそうとして、”自分の心を使いこなす”こと、また、それを応用して他人を使うことを極めたからだと言えるのではないでしょうか。つまり、松下幸之助の経営哲学は、”人間学の集大成”とも言えるものです。

本サイトでは、これまで必ずしも十分に解明されなかった松下幸之助の経営哲学の機能とメカニズムを現代の神経科学や脳科学、心理学、神経言語プログラミングなどの知見にもとづいて解明し、その全体像を明らかにして体系化したものです。これまで松下幸之助の経営哲学は知識として頭で理解することはできても、本当の意味で実践することは必ずしも容易ではありませんでした。しかし、本サイトが解明したその経営哲学を”血肉”となるほど自分自身の”信念”とすることができれば、その経営に、また、人生に自然と実践することができるようになるでしょう。そうすれば、結果は自ずとついてくるものだと言えましょう。                                    

 

                           2016年5月1日 著者 宮﨑 勇気                 

4.5)“日に新た”(4)“日に新た”の実践を妨げるもの⑤

June 22, 2018

4.自然の理法に従う

 5)“日に新た”

 (4)“日に新た”の実践を妨げるもの ⑤

 

 “日に新た”を実践することが妨げられる第二の場合とは、経営者が経営環境の変化がもたらした経営の危機を認識しつつも、自ら変わろうとしない、あるいは、変われない場合である。

 

 なぜ変わらないのか、変われないのか?

 

 それは、経営環境が変化することによって、経営の危機に直面したときに、私たち人間は、往々にして自分を守ろうとして、うまく行かない原因を自分ではなく環境の変化などの外部に求めて、“自分は悪くない”“自分は変わる必要はない”と自らを慰めようとする傾向があるからである。そして、それをいわば“正当化”するために、私たち人間は、外部の環境の変化というものは自分たちのコントロールの及ばない仕方のないこと、いわば不可抗力なのだと捉えようとするのである。経営者も人間である。例えば、「不況だから売上や利益が上がらなくても仕方がない」と考えるのだ。

 

 この点について、松下幸之助は、次のように指摘する。曰く、「人間というものは、往々にしてうまくいかない原因を究明し反省するよりも、『こういう情況だったからうまくいかなかったのだ。あんな思いがけないことが起こって、それで失敗したのだ。』というように弁解し、自分を納得させてしまう。」(「松下幸之助一日一話」p.188)

 

 この場合、経営者は“防衛本能”から自分を守ろうとして、その経営危機の原因と責任を外部の現象に転嫁し、自分はむしろその大きな変化の“犠牲者だ”という“被害者意識”に陥る。そうなると、現状を打開し解決するためには、環境自体が再び“好転する”ことを待つか、あるいは、誰か“他の人”が何とかしてくれるのを待つという“受け身”の姿勢となって“思考停止”の状態に陥り、自ら積極的に具体的な対応策を考えようとしなくなってしまうのである。

 

 この点、例えば、米国の投資銀行リーマンブラザーズの経営破綻に端を発した世界的な金融危機のリーマン・ショックや不況、あるいは、タイの洪水や日本の東北大震災などの経営環境の急変自体は、不可抗力と言えるかもしれない。しかしながら、同じ環境の変化に直面しても、その変化によって被る被害が軽く済む企業とそうでない企業があり、また、被害を受けても、素早く立ち直る企業とそうでない企業とがある。

 

 前者の環境の変化によって被る被害の程度について、松下幸之助は、いわばダムのような余裕やゆとりを経営のあらゆる面に持つ経営(“ダム経営”)を強調し、そうすれば、「外部の諸情勢の変化があっても大きな影響を受けることなく、常に安定的な発展を遂げていける」ようになると言う。つまり、「企業経営というものはいついかなる時でも堅実に発展していくのが原則であり、そしてそれはやり方次第で可能なことである。」というのである。(「実践経営哲学」pp.64-65)従って、普段からの経営の考え方(“ダム意識”)やり方(“ダム経営”)によって、このような経営環境の急変に対しても、その受ける被害をより少なくすることが可能である。

 

 また、後者の環境の変化による被害からの迅速な復旧についても、松下幸之助は、「そのような経営のダムを随所に持つことによって、少々外部の状況が変化しても、あたかも、増水時にたくわえた水を乾期に放流することによって水不足を防げるように、その変化に迅速かつ適切に対応できる。」と述べている。また、不可抗力の典型例である“不況”に関連して、松下幸之助は、次の様に述べている。曰く、「現実に不景気の中でも利益をあげ、業績を伸ばしている企業があるということは、やはりやり方しだいだということではないだろうか。」(「実践経営哲学」p.57)

 

 経営環境の変化を不可抗力だから仕方がないと諦めて自ら何もしようとしないと、次にまた大きな外部の環境の変化があったときにも、同じように、“不可抗力”であるその変化の影響を諸に受けて翻弄され、同じ失敗を繰り返すこととなる。外部の状況に対する自身のネガティブな反応の仕方を“パターン化”し、潜在意識のレベルで“一つの回路”が形成されると、それが“習慣”となり、同じような状況に遭遇する度に、その回路が自動的に働いて、いつものネガティブな“反応”のパターンを“無意識に選択”してしまうのだ。

 

 言い換えれば、うまく行かない原因を他人や環境のせいにするということは、裏を返せば、自分には、そのような経営の危機をコントロールする力がないということを自ら認めることを意味するから、結果として、環境の変化に翻弄されるしかないというような“弱い自己イメージ”、松下幸之助の言葉で言えば、“無力な将棋の駒”という自己イメージを無意識のレベルで自ら作り上げてしまう。そうすると、それ以後は、その“自己イメージ”通りに自分を“被害者”として捉えて、“被害者”として考え行動するようになる。それは、すなわち、自分の“人生の主人公”たる席を他に譲り、“受け身”で“消極的に生きる”ことを意味する。これも、“自分を守る”という“私心”にとらわれ、“自己中心的な”考え方に縛られた結果、物事を客観的に見ることができなくなったものと言えよう。

Copyright © 2018 Yuki Miyazaki  All rights reserved.

(お知らせ)関連の下記ブログも併せてご覧いただければ幸いです。

      現パナソニック株式会社の創業者である“松下幸之助の経営哲学”の現代の諸問題への応用として、最近の

      話題等をテーマにしたブログです。最新の記事は、「憎まれっ子世に憚る②」です。

 

 

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