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松下幸之助の経営哲学-その真髄の理解と実践のために-

世の中に優れた経営者と言われる人は多くいますが、”経営の神様”と言われたのは、松下幸之助だけです。なぜでしょうか?それは、卓越した観察力で様々な人々を観察する中で、人間の”無限の可能性”と現実の姿としての”心の弱さ”という相矛盾する本質を発見し、そして、それらの双方の本質を共に活かそうとして、”自分の心を使いこなす”こと、また、それを応用して他人を使うことを極めたからだと言えるのではないでしょうか。つまり、松下幸之助の経営哲学は、”人間学の集大成”とも言えるものです。

本サイトでは、これまで必ずしも十分に解明されなかった松下幸之助の経営哲学の機能とメカニズムを現代の神経科学や脳科学、心理学、神経言語プログラミングなどの知見にもとづいて解明し、その全体像を明らかにして体系化したものです。これまで松下幸之助の経営哲学は知識として頭で理解することはできても、本当の意味で実践することは必ずしも容易ではありませんでした。しかし、本サイトが解明したその経営哲学を”血肉”となるほど自分自身の”信念”とすることができれば、その経営に、また、人生に自然と実践することができるようになるでしょう。そうすれば、結果は自ずとついてくるものだと言えましょう。                                    

 

                           2016年5月1日 著者 宮﨑 勇気                 

4.自然の理法に従う 5)“日に新た”⑮(6)“日に新た”の具体的な実践方法 ④

August 10, 2018

4.自然の理法に従う 5)“日に新た”⑮

(6)“日に新た”の具体的な実践方法 ④

 

 パナソニックのヒット商品電動歯ブラシのポケットドルツの事例を以下に紹介する。ある女性社員の素朴な“なぜ”という問いが、それまでになかった全く新しいコンセプトの商品を生み出す“突破口”となったのである。

 

 当時、電動歯ブラシの普及率は、14~15%で、同市場の年間売上は、220万台(2007年)、それ以降は、横這いという状態で、伸び悩んでいた。市場調査の結果、昼食後歯を磨く人が33%いることが判明した。特に20代女性の7割が「毎日」又は「たまに」外出先で磨くということがわかった。この調査結果を受けて、「20代の若い女性をターゲットとした外出先での歯磨き用電動歯ブラシ」プロジェクトが立ち上がった。ターゲット顧客を“20代の若い女性”に絞り込んだのである。

 

 プロジェクトのメンバーである入社2年目の女性社員は、社内の昼休みの洗面台の光景を見て、素朴な疑問を抱いた。「うちの会社は、電動歯ブラシを売っている会社なのに、なぜどの人も手で磨いているんだろう?」

 

 そこで、さらに顧客アンケート調査を実施したところ、女性社員が電動歯ブラシを会社に持ってこないのにはやはり理由があった。次のような様々な理由が判明したのである。「ポーチに入らない」「色が白だけで、おしゃれじゃない」「電動歯ブラシの音が大きくて、恥ずかしい」「ボディが太くて、カッコ悪く、デザインもおしゃれじゃない」

 

 それまでの電動歯ブラシは、「歯をきれいに磨きたい」という既存の顧客のニーズに応えて、歯垢の除去など歯ブラシの“磨く力”の性能を高めることにフォーカスしてきた。そこで、“磨く力”の性能を高めるために、技術陣はモーターを改良して、高速で動くリニア方式のモーターを内臓したため、電動歯ブラシの柄が太くなっていた。そして、「“機能の強化”をすれば、売れる!」という固定観念の“呪縛”から抜けられず、ひたすら“磨く力”の機能を強化・改善してきたのである。まさに、先に述べた“イノベーションのジレンマ”に陥っていた。

 

 プロジェクトでは、先のアンケート調査の結果を踏まえて、「顧客に提供する価値」をこれまでのすべての顧客を対象とした「歯をきれいに磨きたい」ということではなく、ターゲット顧客である“若い女性”の立場に立って、一段高いところから見直した結果、「自分を美しく磨きたい」というニーズに気が付いた。そこで、このような若い女性が「自分を美しく磨きたい」というニーズに応える商品づくりを目指すこととし、“若い女性が自分を美しく磨くための道具”という商品のコンセプトに到達し、そこから改めて現在の商品を見直したのである。

 

 その結果、今まで“磨く力”の性能を高めることにとらわれ、そこにフォーカスしてきたために“削除”され、“盲点”となって見えなかったものが、“盲点”が外れて、見えるようになったのである。先程のアンケート結果をも踏まえて、新しい視点から次のような商品の改善を行った。

①ポーチに入れて持ち歩ける携帯性を重視して、長さを16cmに短縮した。

②ポーチに入れるため、ブラシヘッドにキャップをつけた。

③従来白色のみだったが、おしゃれな色を使用した。

④音が大きいと気兼ねするので、音の大きさを2割低減した。

⑤ボディを細くスマートにした。そのためにこれまでの機能強化の結果であったリニア方式のモーターから古い回転式のモーターに戻した。その過程では、ものづくり側の強硬な抵抗もあったが、商品コンセプトを丁寧に説明して、理解してもらった。

⑥パッケージをおしゃれなデザインに変えた。

⑦値付けについては、競合品となる“化粧品”なら、衝動買いを誘う価格帯を狙って、実売価格約4000円に設定した。

 

 そして、2010年3月に満を持して発売したところ、目標年間50万台に対して、2011年3月までに160万台を販売し、大ヒット商品となったのである。

Copyright © 2018 Yuki Miyazaki  All rights reserved.

 

(お知らせ)関連の下記ブログも併せてご覧いただければ幸いです。

      今年100周年を迎える現パナソニック株式会社の創業者である“松下幸之助の経営哲学”の現代の諸問題への
      応用として、最近の話題等をテーマにしたブログです。http://ameblo.jp/minamoto305yori-konosuke/

      最新の記事は、「憎まれっ子世に憚る⑨」です。

 

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