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松下幸之助の経営哲学-その真髄の理解と実践のために-

世の中に優れた経営者と言われる人は多くいますが、”経営の神様”と言われたのは、松下幸之助だけです。なぜでしょうか?それは、卓越した観察力で様々な人々を観察する中で、人間の”無限の可能性”と現実の姿としての”心の弱さ”という相矛盾する本質を発見し、そして、それらの双方の本質を共に活かそうとして、”自分の心を使いこなす”こと、また、それを応用して他人を使うことを極めたからだと言えるのではないでしょうか。つまり、松下幸之助の経営哲学は、”人間学の集大成”とも言えるものです。

本サイトでは、これまで必ずしも十分に解明されなかった松下幸之助の経営哲学の機能とメカニズムを現代の神経科学や脳科学、心理学、神経言語プログラミングなどの知見にもとづいて解明し、その全体像を明らかにして体系化したものです。これまで松下幸之助の経営哲学は知識として頭で理解することはできても、本当の意味で実践することは必ずしも容易ではありませんでした。しかし、本サイトが解明したその経営哲学を”血肉”となるほど自分自身の”信念”とすることができれば、その経営に、また、人生に自然と実践することができるようになるでしょう。そうすれば、結果は自ずとついてくるものだと言えましょう。                                    

 

                           2016年5月1日 著者 宮﨑 勇気                 

松下幸之助の“選んだ”物の考え方(6)失敗の原因はわれにあり①

January 27, 2017

3.人間大事の経営 

 

3)松下幸之助の“選んだ”物の見方考え方

 

(6)失敗の原因はわれにあり ①

 

 何か物事がうまくいかないときに、私たちは、自分を守ろうとして、その原因を他人や環境、運など自分ではコントロールすることのできないもののせいにしがちである。それは、自分にはどうしようもなかった、仕方のなかったことで「自分は悪くない」と自分を守ろうとする防衛本能が働くからだ。しかし、そのような場合に、松下幸之助は、そのような物の考え方を排し、「失敗の原因はわれにあり」と考えなければならないと断言する。

 

 例えば、昭和34年10月の営業所長会議において、次のように述べている。「物事がうまくいかない場合には、非常に深く反省をして、かくなった原因はどこにあったか、それはことごとく自分にあるのだ、と考えねばなりません。その反省を強く行っていくならば、大きな失敗というものは絶無になる、といってもよいのではないかと思うのです。」

 

 また、曰く「そう考えてみると、例えば会社がうまく発展しないというのも色々原因がありますが、その原因は真の原因ではなく、真の原因は自己反省の足りないところ、また自己反省しても適切なことを考えられないところにあるわけです。兎角我々は、自分に都合のいいような解釈をしたがるものです。あれは予期しなかったことであって、これはもう自分でも仕方がなかった、というように考えて自己慰安をするものです。一面そういうことも必要です・・・けれども、それだけではいけないと思うのです。もうひとつ深く反省して、なすべきをなしていたなら、今こういうことを話し合う必要もなかったのだ、ということを考えねばなりません。それを深く反省し、気づくか気づかないかが、スムーズに発展するかしないかということに結びついていくのではないかと思うのです。事業というもの、仕事というものは、つまずくことはあり得ない。それがあるということは、それにふさわしい時々の反省、用意周到さに欠けるところがあるからだということを、はっきりと自覚してやっていくことが大事だと思います。そうすれば失敗は半減すると思うのです。」(「道は無限にある」)

 

 それでは、“失敗の原因を他人や環境のせいだ”と決めつけることには、どのような問題があるのであろうか。さらに具体的に考えてみたい。

 

 第一に、“自分を守る”ことに意識の“焦点”が当たるため、それ以外の情報が“削除”され“盲点”となって見えなくなってしまい、そもそも目の前の“現実”を客観的に正しく見ることができなくなるという弊害がある。

 

  第二に、その結果、特に自分自身の足元にある“本当の失敗の原因”までもが“削除”され、隠されて、問題解決の可能性を自ら摘み取ってしまう結果、それらの原因が放置され、温存されて、将来同じ問題を繰り返し発生させることとなる。この点、松下幸之助は、次のように述べている。曰く、「世間の契機が悪くて、おしなべてみんなが不調のときには、ともすれば眼が外に向いて、自身の反省を怠りがちとなる。」(「続・道をひらく」p.250)

 

 第三に、自分を守ろうとして、物事を“歪めて”解釈し、外に原因を見つけて自分はその犠牲となった“被害者”だと捉える。前述の「兎角我々は、自分に都合のいいような解釈をしたがるものです。」との松下幸之助の言葉は、この点を指摘するものである。

 

  具体例として、次のような例を挙げている。「「こういう情況だったからうまくいかなかったのだ。あんな思いがけないことが起こって、それで失敗したのだ」というように弁解し、自分を納得させてしまう。」(「松下幸之助一日一話」p.188)あるいは、「こう不景気では・・・というわけで、責任を世間に転嫁して、自分の不調を安直にかたづけてしまう。つまり、自分は悪くないのである。」(「続・道をひらく」pp.250-251)こうして環境の変化や「自分の不調」を客観的に正しく見ることができなくなるのである。“自分”にとらわれ、自分を守るため“歪曲”のメカニズムが働いた結果である。

 

  第四に、目の前の問題の捉え方も歪められて、“被害者”たる“自分が解決すべき問題”ではなく、他の誰かが解決してくれるか、環境が変わることによっていずれ解決される問題だと捉えることとなる。その結果、そのようにして問題が解決されるのをただ“待つ”だけとなり、その解決に自ら積極的に“関与”して行こうとはしなくなり、“解決に向けた思考”も停止してしまう。

 

  第五に、結果として、自分がその“失敗”から学んで“成長する機会”を自ら奪うことにもなる。この点、松下幸之助は、「当然負うべき責任を他に転嫁するようなところからは、決して進歩発展は生まれてこないと思うのである。」(「思うまま」p.188)と述べている。

 

  第六に、自分で自分を貶め、低くしてしまう。つまり、そのような状況に対して、自ら主体的に関わり、解決策を生み出し、かつ、実行して行くという、自らの“主体性”を放棄し、自身の解決能力を否定する一方、他人や環境に依存することによって、それらに力を与えることとなる結果、それらの影響を諸に受けて、翻弄される“弱い自分”を自ら創り上げてしまうのだ。こうして、潜在意識のレベルに“低い自己イメージ”を創り、それが“信念”の一部となってしまう。そうなると、それ以降も、そのような低い自己イメージに沿って、繰り返し考え行動することとなる結果、他人や環境の影響を諸に受け続けてそれらに翻弄され続けることとなるのである。

 

  この点、松下幸之助は、次のように述べている。曰く、「そのような世間全体の不景気というものについても、“なすべきことをしていれば、それによって影響される事柄は、ほんとうはないのであって、それだけ大きな影響を受けるということは、その状態をやはり会社自体、あるいはお互い自身がつくっているからである”と解釈すべきでしょう。」(「経営のコツここなりと気づいた価値は百万両」p.72)

 

  こうした“受け身”で“他者依存的な”物の考え方は、いわば自分自身の人生についての決定権を自ら放棄するものであり、松下幸之助が、その経営哲学の前提とした“主体的に生きる”という考え方の対極にあるものだ。そのような“弱い自分”を松下幸之助は、“無力な将棋の駒”と表現し、そのような人生はつまらないではないかとして、自分の人生は自ら考えて決定し行動するという“主体的に生きる”ことを選択するところから人生の喜びも生まれるのだということが、出発点であった。

 

  それ故、松下幸之助は、次のように言うのだ。曰く、「しかし、それ(筆者注:自己慰安)だけではいけません。それと同時にもう一つ深い原因は自己にあるという反省をしなければならないと思います。実際、何かうまくいかないことがあったとき、あとからよく考えてみますと、“あのとき、こういうことをしておけばよかったのに”とか“ああいうことはやる必要のなかったことだった”とかいったことが次々に出てくるものです。深く反省することによって、そういうことに気がつくかつかないか、そのことが企業が順調に発展していくかどうかに大きくかかわっていると思います。」(「経営のコツここなりと気づいた価値は百万両」pp.72-73)

 

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