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松下幸之助の経営哲学-その真髄の理解と実践のために-

世の中に優れた経営者と言われる人は多くいますが、”経営の神様”と言われたのは、松下幸之助だけです。なぜでしょうか?それは、卓越した観察力で様々な人々を観察する中で、人間の”無限の可能性”と現実の姿としての”心の弱さ”という相矛盾する本質を発見し、そして、それらの双方の本質を共に活かそうとして、”自分の心を使いこなす”こと、また、それを応用して他人を使うことを極めたからだと言えるのではないでしょうか。つまり、松下幸之助の経営哲学は、”人間学の集大成”とも言えるものです。

本サイトでは、これまで必ずしも十分に解明されなかった松下幸之助の経営哲学の機能とメカニズムを現代の神経科学や脳科学、心理学、神経言語プログラミングなどの知見にもとづいて解明し、その全体像を明らかにして体系化したものです。これまで松下幸之助の経営哲学は知識として頭で理解することはできても、本当の意味で実践することは必ずしも容易ではありませんでした。しかし、本サイトが解明したその経営哲学を”血肉”となるほど自分自身の”信念”とすることができれば、その経営に、また、人生に自然と実践することができるようになるでしょう。そうすれば、結果は自ずとついてくるものだと言えましょう。                                    

 

                           2016年5月1日 著者 宮﨑 勇気                 

5.社会とともにある 2)経営観:「企業は社会の公器」③

December 14, 2018

5.社会とともにある

2)経営観:「企業は社会の公器」③

 

 先に述べた通り、“企業”とは、商法上の「会社」であり、“利益”を目的とする、つまり営利目的を持つ社団法人という私的団体である。それをなぜ“社会の公器”と言えるのであろうか?

 

 “社会の公器”とは、国民の税金で設立され、国民の福祉など国民の利益のために活動すべきものとされる公的機関ということであろう。

 

 松下幸之助は、“企業”を次の様に捉えた。

 

 そもそも“企業”というものは、“物心ともに豊かな人間社会の実現”という“人間に与えられた使命”を達成するための“手段”であって、そのような人間の使命を達成するために“社会の発展の原動力となるため”あるいは“社会の人々の役に立つため”に活動するというところにその“企業の存在意義”“事業の目的”がある。

 

 松下幸之助は言う。「お互い人間は、そうした限りない生成発展を願い求めているということである。つまり衣食住をはじめとして、みずからの生活を物心ともによりゆたかで快適なものにしたいということを絶えず願っている~」「そのような人びとの生活文化の維持、向上という願いにこたえ、それを満たしていくところに、事業経営の根本の役割というか使命があると考えられる。」(「実践経営哲学」p.24)

 

 そして、この「事業活動を通じて、人びとの共同生活の向上に貢献する」という企業の使命は、「あらゆる企業に通ずるものである。」と指摘する。(「実践経営哲学」p.25)

 

 この“企業の使命”という観点から、松下幸之助は、「そういう意味において、事業経営というものは本質的には私の事ではなく、公事であり、企業は社会の公器なのである。もちろん、形の上というか法律的にはいわゆる私企業である~けれども、その仕事なり事業の内容というものは、すべて社会につながっているのであり、公のものなのである。」(「実践経営哲学」p.26)

             

 また、“事業目的”だけでなく、実際にも企業は社会から離れて存在することはできず、“社会との関係性”の中で事業活動を行っているのであるから、その活動内容も“社会の求めるものを実現する”方向とならざるをえないのである。この点、松下幸之助は次の様に述べている。「いかなる企業も、その仕事を社会が必要とするから成り立っている。その活動が人々の役に立ち、社会生活を維持向上させ、文化を発展させるものであって初めて企業は存在できるのである。」

 

 しかも、実際“企業”は、広く社会から人やお金(資本)を集めて設立され、それらの“社会からの預かりもの”を以って上記の事業活動を行うものである。松下幸之助は言う。「企業は、天下の人、物、金、土地を社会から預かって、経営を進めている。」

 

 このように、“企業”は、その“存在意義”“事業目的”、さらには人や金など経営資源の調達方法、その活動内容など様々な側面から見ても、“公的生産機関”と言える実態を備えている。それ故、企業は“社会の公器”と考えることができるし、また、そのように考えなければならないと言うのである。

 

 以上から、松下幸之助は「企業経営は、本質的には、私事ではなく、“公事”であり、私企業といえども“社会の公器”である。」と捉えたのである。当時の社会においては、極めてユニークな考え方であった。

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