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松下幸之助の経営哲学-その真髄の理解と実践のために-

世の中に優れた経営者と言われる人は多くいますが、”経営の神様”と言われたのは、松下幸之助だけです。なぜでしょうか?それは、卓越した観察力で様々な人々を観察する中で、人間の”無限の可能性”と現実の姿としての”心の弱さ”という相矛盾する本質を発見し、そして、それらの双方の本質を共に活かそうとして、”自分の心を使いこなす”こと、また、それを応用して他人を使うことを極めたからだと言えるのではないでしょうか。つまり、松下幸之助の経営哲学は、”人間学の集大成”とも言えるものです。

本サイトでは、これまで必ずしも十分に解明されなかった松下幸之助の経営哲学の機能とメカニズムを現代の神経科学や脳科学、心理学、神経言語プログラミングなどの知見にもとづいて解明し、その全体像を明らかにして体系化したものです。これまで松下幸之助の経営哲学は知識として頭で理解することはできても、本当の意味で実践することは必ずしも容易ではありませんでした。しかし、本サイトが解明したその経営哲学を”血肉”となるほど自分自身の”信念”とすることができれば、その経営に、また、人生に自然と実践することができるようになるでしょう。そうすれば、結果は自ずとついてくるものだと言えましょう。                                    

 

                           2016年5月1日 著者 宮﨑 勇気                 

5.社会とともにある2)経営観 企業は社会の公器 ②

December 7, 2018

5.社会とともにある

2)経営観 企業は社会の公器 ②

   

 その後は、何を目指せばよいのか?

 

 目指すべき方向についての一つのヒントは、丁稚奉公時代に身体で覚えた「商売の本質は、世の為人の為の奉仕にあり」(『商売戦術三十カ条』松下幸之助)という原則であった。つまり、自分の好きなことや自分が儲けるために、自分の都合でやっても、商売はうまくいかない。それは「企業の仕事なり、事業の内容というものは、すべて社会につながっているのであり公のものなのである。」からだ。自分たちの事業活動の結果を評価するのは、社会であり、そこにいる人々である。従って、“社会の人びとが真に求めるもの”に応えて、“人々の役に立つもの”を提供していかなければ、相応の評価は得られない。“社会の人々”の求めるものから離れてしまえば、その商売・事業は早晩失敗する。この点、松下幸之助は言う。「どんな仕事であっても、世の中の求めないところ、いかなる職業も成り立ちえないのです。」

 

 しかし、逆に、常に『社会とともにある』ことを忘れず、『真に社会の求めるもの』を実現し、提供して行けば、必ず世の中の人々は支持してくれる、つまり自社の商品を買ってくれるから、必ず事業は成功する、それが“商売の本質”なのだというわけである。それ故、松下幸之助は、企業は「社会とともにある」べきことを何よりも強調する。曰く、「企業は、社会とともにある限り、永遠に発展するし、そうでなくなったら、やがて衰退する。これが真理である。それは企業の大小には関係ない。」(1983年2月1日松下政経塾塾報より)

 

 それ故、目指すべきは、「素直な心構えで、社会の要望するものを常に敏感に謙虚に把握し、真に社会から要望されるものを実現するという態度で使命観に基づいて仕事を行うこと」であって、そうすれば、「事業は必ず成功するのであります。」と断言するのである。(「社員読本 I 経営基本方針」より)それこそが、“商売の本質”と“真理”を踏まえた“正しい方向”だからである。

 

 しかも、その際には“素直な心構え”“謙虚さ”が大切だと強調するのである。それは、“自分の利害や感情”などの“私心”にとらわれていると、その“真に社会から要望されるもの”が見えなくなってしまうからである。(“削除”)松下幸之助は言う。「自分は世間とともにあるのだ、また世間の人々は誠に親切に自分を導いて下さるのだというような考えの下にお客さんに接してゆくならば、商売というものは非常にしやすいものになると思う。」(「思うまま」p.142)“我欲”や“私心”を抑えて、世間の声を優先すべきことを強調する。

 

 そして、「世間は正しいと考え、その正しい世間に受け入れられるような仕事をしていくことを心がけていくところに、事業発展の道があるのである。」とし、「自分は、ただ世間の求めるところに対して、省みて過ちなきを期してゆけばいいのだ。それ以外のことには心を煩わす必要はない。」 とまで言い切るのです。つまり、『常に正しい世間の声』に耳を澄まし、自分の意識をそれにフォーカスせよと言い、それ以外のことはすべて二の次のことであり、それらに煩わされてはならないと喝破するのである。実際の企業の中では、その逆のことが起こっている。売上高や利益の額に拘り、社内の人間関係に神経をすり減らし、『世間の声』よりも、むしろそれらの社内事情から重要な意思決定が行われる。松下幸之助は、それらにとらわれず、ただ真っ直ぐに『世間の声』を聞き、その求めるところを実現していくことに集中せよというのである。

 

 商売や事業の成功と失敗を分かつ、これら二つの要素を併せて考えると、結局、事業経営を“我欲”“私的欲望”から“私物化”し、“自分が儲けるため”に、“自分の都合”で自分の好きなように事業を行うのではなく、「世の為人の為の奉仕」という“商売の本質”を踏まえ“真に社会の求めるものを実現する”という“正しい方向”に向かわなければならない。そのためには、“私心”を克服あるいはそれから脱却し、“公の心”で事業を行うことが必要である。つまり、“私的欲望から公的欲望へ転換する”ことがすべての“鍵”となるのである。

 

 松下幸之助は、『経営の心得』三カ条の中で、この点を次の様に強調している。曰く、「経営といい商売といい、これ皆公事にして、私事にあらず」「商売は常に公の心をもって行ない、いささかも私心をはさまざるよう心がくべし」また、次の様に述べている。「成功する経営者と失敗する経営者の間にある大きな違いは、私心にとらわれず、公の心でどの程度ものを見ることができるか、ということにあると思います。私心つまり私的欲望によって経営を行う経営者は必ず失敗します。私的欲望に打ち勝つ経営者であってこそ、事業に隆々たる繁栄、発展をもたらすことができると思うのです。」(「松下幸之助一日一話」p.121)

 

 “企業は社会の公器”と捉える松下幸之助の当時は実にユニークな考え方は、“企業は社会の公器”と捉え、その活動たる経営や商売を『公事』と捉えることによって、“私心”にとらわれている自分自身に気づかせ、“私的欲望”を克服させて、“私心へのとらわれ”から脱却させることができる、と同時に、「事業を通じて社会に貢献する」という“会社の存在意義”“事業目的”を想起させ、経営者を“公的欲望”に導くのである。つまり、経営者の“私的欲望から公的欲望への転換”を一気に実現し、事業を“正しい方向”に向かわせ、その方向を維持するという極めて実践的な機能を持っているのである。これが第一の機能である。

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