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松下幸之助の経営哲学-その真髄の理解と実践のために-

世の中に優れた経営者と言われる人は多くいますが、”経営の神様”と言われたのは、松下幸之助だけです。なぜでしょうか?それは、卓越した観察力で様々な人々を観察する中で、人間の”無限の可能性”と現実の姿としての”心の弱さ”という相矛盾する本質を発見し、そして、それらの双方の本質を共に活かそうとして、”自分の心を使いこなす”こと、また、それを応用して他人を使うことを極めたからだと言えるのではないでしょうか。つまり、松下幸之助の経営哲学は、”人間学の集大成”とも言えるものです。

本サイトでは、これまで必ずしも十分に解明されなかった松下幸之助の経営哲学の機能とメカニズムを現代の神経科学や脳科学、心理学、神経言語プログラミングなどの知見にもとづいて解明し、その全体像を明らかにして体系化したものです。これまで松下幸之助の経営哲学は知識として頭で理解することはできても、本当の意味で実践することは必ずしも容易ではありませんでした。しかし、本サイトが解明したその経営哲学を”血肉”となるほど自分自身の”信念”とすることができれば、その経営に、また、人生に自然と実践することができるようになるでしょう。そうすれば、結果は自ずとついてくるものだと言えましょう。                                    

 

                           2016年5月1日 著者 宮﨑 勇気                 

2)経営観 企業は社会の公器 ⑩

February 1, 2019

2)経営観 企業は社会の公器 ⑩

 

 経営者も人間である以上、“万能”ではない。人間には“心の弱さ”があるからだ。松下幸之助は言う。「とかく人間というものは、易きにつきやすい一面を持っている。」「人間というものは、そんなに弱いものだ。偉そうなことを言っても、暗がりでは何をするかわからない。それが人間の一つの姿だ。」

 

 そして、そのような“心の弱さ”を持つ経営者の監督という点について、松下幸之助は、次のように述べている。曰く、「ある種のこわさというものがなければ、ついつい安易に流れてしまう。」「こわいもの知らずほど危険なものはない。」「社員は課長がこわい・・・部長は社長がこわい、そして、社長は世間がこわいというように、それぞれの立場でこわさを感じることによって自分を正しく律しつつ成長をはかっていくものである。」(「人事万華鏡」pp.102-107)

 

 これまで“物言わぬ株主”や取引先や銀行との“株式の持ち合い”により守られてきた結果、怖いもの知らずとなった企業の社長には、松下幸之助の言う「社長が自分を正しく律する」ためにも、“世間”や“株主”という“怖いもの”がぜひとも必要である。社内外に“怖いもの”がなくなった経営者は、“傲慢”になり、部下や周囲の意見を聞かなくなり、“独断”的ワンマン経営に陥り易い。そうなると、社会の動きも客観的に正しく見ることができなくなり、“世間の声”を無視軽視し、“社会の変化に適応する”ことが困難となって、やがてその経営は危機に陥ることとなる。

 

 「企業は社会の公器」という考え方は、このように経営者が、“私心”にとらわれて、企業を“自分の所有物”と錯覚し、“傲慢”になり、怖いものなしとなって、世間や部下の声を聞かずに独断専行し、暴走するということを防止する機能を有する。

 

 その考え方は、いわば“社会の公器”として“怖い世間”から自分が常に見られているということを想起させる心理的なトリガー(引き金)として機能するのである。即ち、“社会の公器”という捉え方は、企業は、その人もお金も“社会からの預り物”であり、事業のためにそれらを託された自分には、“受託責任”があるということ、そして、その使命は、「事業活動を通じて、人びとの共同生活の向上に貢献する」ことにあり、そのプロセスは“社会正義”に沿ったものでなければならない、そして、その経営のプロセスと結果は、社会の人々から常に見られているのだということを経営者に想起させることで、“私心へのとらわれ”から“怖いもの”なしとなって暴走するワンマン経営者を瞬時に覚醒させるとともに、「自分を正しく律する」方向に向かわせる機能を持つのである。

 

これが、「企業は社会の公器」という考え方の第六の実践的機能である。

Copyright © 2018 Yuki Miyazaki  All rights reserved.

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