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松下幸之助の経営哲学-その真髄の理解と実践のために-

世の中に優れた経営者と言われる人は多くいますが、”経営の神様”と言われたのは、松下幸之助だけです。なぜでしょうか?それは、卓越した観察力で様々な人々を観察する中で、人間の”無限の可能性”と現実の姿としての”心の弱さ”という相矛盾する本質を発見し、そして、それらの双方の本質を共に活かそうとして、”自分の心を使いこなす”こと、また、それを応用して他人を使うことを極めたからだと言えるのではないでしょうか。つまり、松下幸之助の経営哲学は、”人間学の集大成”とも言えるものです。

本サイトでは、これまで必ずしも十分に解明されなかった松下幸之助の経営哲学の機能とメカニズムを現代の神経科学や脳科学、心理学、神経言語プログラミングなどの知見にもとづいて解明し、その全体像を明らかにして体系化したものです。これまで松下幸之助の経営哲学は知識として頭で理解することはできても、本当の意味で実践することは必ずしも容易ではありませんでした。しかし、本サイトが解明したその経営哲学を”血肉”となるほど自分自身の”信念”とすることができれば、その経営に、また、人生に自然と実践することができるようになるでしょう。そうすれば、結果は自ずとついてくるものだと言えましょう。                                    

 

                           2016年5月1日 著者 宮﨑 勇気                 

5.社会とともにある1)事業の目的・会社の存在意義⑧

November 23, 2018

5.社会とともにある

1)事業の目的・会社の存在意義⑧

 

 これに対して、松下幸之助は、先に未来に飛んで、そこから現在に向けてアプローチするのだ。その前提には、“社会の発展の原動力になる”という「綱領」の目的がある。“社会の発展の原動力になる”という高い志の下、その目的の方向に向かって、具体的に未来に自社が“為すべきこと”を定める。そこでは、過去や現在がどうであるかとか、自社の現在の能力がこうだからというようなことは、一旦脇に置いて、過去からの延長線上の思考を一旦断ち切る。その上で、自社が“社会の発展の原動力となる”という“高い視点”から、未来に自社が“為すべきこと”を定めるため、過去現在の延長線上にはない“高い目標”を定めることができる。次にその“為すべきこと”が実現した未来の姿を繰り返し具体的にイメージし“固定”する。その上で、その「未来から現在を見る」ことによって、未来の実現した姿に向けて、今後進むべき道筋や自社に足らざる能力が明らかになってくるとともに、その目標に向けてあらゆる経営資源を“集中する”ことによって、組織として大きなエネルギーを生み出すことができるのである。

 

 また、個人としても、“目標を持つこと”で初めて私たちは、その目標を実現するために、快楽苦痛の原則を乗り越えることができる、つまり、自分の“快楽”を抑え、“苦痛”に耐えることができるようになるのである。その結果、非連続的な大きな発展と企業としての成長が実現されるのだ。

 

 先の過去・現在の延長線上の発想では、過去や現在が原因となって、未来が結果として生まれると考えるのに対して、この“将来から現在を考える”発想では、未来の目標の実現した姿が“固定”されることによって、いわゆる“梃の原理”によりそれが“原因”となって、現在の自社の考えと行動、エネルギーを変えて行く、そして、それを通じて、その未来の目標が実現されていくのだ。いわば因果関係が未来から現在へと逆転するのである。それによって現在の考えと行動が変わる。過去を引き摺り、やみくもに進むのではなく、過去からの悪い影響を断ち切って、未来の目標に引っ張ってもらうのだ。

 

 ただ、抽象度の高い経営理念の実際の運用においては、ひと工夫する余地がある。経営理念をより身近な臨場感溢れる目標とするため、“中期ビジョン”を設定するのだ。即ち、経営理念の方向に向かって、それに近づくための“3年先あるいは5年先の具体的な社会への貢献の内容”とそれを実現できるための“経営のあるべき姿”を「中期ビジョン」として策定し、全社員が共有することが必要であり、また有益であろう。

 

 ここでは、「中期ビジョン」が、抽象度が高く、臨場感を持ちにくいという“経営理念”の弱点を補完する機能を持つこととなる。従って、中期ビジョンは、“経営理念”を前提とし、そこから出てくるものでなければならない。つまり、“経営理念”をその事業に当てはめ、“3年先あるいは5年先に目指す経営の姿”を具体的に表すもの、即ち、自分たちは“どのような経営の姿”を実現することによって“どのように社会に役立とう”としているのか、そして、そのために“自分たちはどのように変わらなければならないか”について具体的なイメージを持つことのできるようなものでなければならない。それをわかりやすい言葉で、また、全社員に“夢”を与え、そのやる気を引き出すような臨場感溢れる言葉で、コンパクトに表すことが大切である。それに加えて、結果としての売上や利益の数値目標を設定することは、問題はないし、むしろ必要である。ただ、先にも述べて通り、“目指すべき経営の姿”を示すことなく、売上や利益などの数値目標だけを設定することは、経営の方向と意思の見えない、むしろ自社の利益にとらわれた姿という他ない。

 

 これは、現代の“戦略的思考”に近い考え方であると言えよう。即ち、東京経済大学の土屋守章教授によれば、“戦略的思考”とは、何か事を成そうとするとき、目的をはっきりさせ、これさえできれば目的が実現できるという、“扇の要”のような戦略的要因を攻め所として一つだけ選択する。そして、その攻め所から逆算で実行に向けて手段-目的の連鎖の筋道を描く。さらに、戦略と戦術を区別し、戦略は環境の変化に関係なく一貫させ、変化には戦術で対応することだと言う。両者の考え方の大枠は、一致している。現代の戦略論にいう“扇の要”のような戦略的要因を攻めるという点は、どうであろうか?

 

この点、松下幸之助は、「ものみな原因あり」と考え、「人間が自らの願いを実現するためには、それを実現するに相応しいものの考え方や心の持ち方、態度や行動を現わしていくことが肝要である。」と述べている。この「それを実現するに相応しい~行動」が、現代戦略論のいう“戦略的要因”から出てくる行動と考えてよい。松下幸之助は、それだけではなく、「それを実現するに相応しいものの考え方や心の持ち方、態度」の必要性にまで言及している点で、より深いところを問題としている。

Copyright © 2018 Yuki Miyazaki  All rights reserved.

(お知らせ)関連のブログも併せてご覧いただければ幸いです。今年100周年を迎える現パナソニック株式会社の創業者
      である“松下幸之助の経営哲学”の現代の諸問題への応用として、最近の話題等をテーマにしたブログです。

      最新の記事は、「私たちは“仮想現実の世界”に生きている!5)歴史の書き換え:勝者が歴史をつくる⑦」
      です。

 

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