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松下幸之助の経営哲学-その真髄の理解と実践のために-

世の中に優れた経営者と言われる人は多くいますが、”経営の神様”と言われたのは、松下幸之助だけです。なぜでしょうか?それは、卓越した観察力で様々な人々を観察する中で、人間の”無限の可能性”と現実の姿としての”心の弱さ”という相矛盾する本質を発見し、そして、それらの双方の本質を共に活かそうとして、”自分の心を使いこなす”こと、また、それを応用して他人を使うことを極めたからだと言えるのではないでしょうか。つまり、松下幸之助の経営哲学は、”人間学の集大成”とも言えるものです。

本サイトでは、これまで必ずしも十分に解明されなかった松下幸之助の経営哲学の機能とメカニズムを現代の神経科学や脳科学、心理学、神経言語プログラミングなどの知見にもとづいて解明し、その全体像を明らかにして体系化したものです。これまで松下幸之助の経営哲学は知識として頭で理解することはできても、本当の意味で実践することは必ずしも容易ではありませんでした。しかし、本サイトが解明したその経営哲学を”血肉”となるほど自分自身の”信念”とすることができれば、その経営に、また、人生に自然と実践することができるようになるでしょう。そうすれば、結果は自ずとついてくるものだと言えましょう。                                    

 

                           2016年5月1日 著者 宮﨑 勇気                 

(4)“お客様大事の心に徹する”-その現代への応用③

December 29, 2017

(4)“お客様大事の心に徹する”-その現代への応用 ③

 

 そこでは、これまでのように大企業であること自体は、必ずしもメリットではなくなった。むしろ、大企業は、正にその組織の大きさの故に、外部の変化への感度と変化への反応のスピードと言う点では、むしろ逆に重要な情報が経営層に上がり難く、意思決定に時間がかかり、かつ、最前線から遠いこともあって、その決定も保守的になりがちであるという意味で、デメリットの方が大きい。特に、先に述べたように規格大量生産型のビジネスモデルがもはや通用しなくなり、顧客のニーズが多様化し、しかも変化していくより複雑な情報化社会においては、そのような多様化し変化する顧客のニーズをいち早く掴んで商品化することができるかどうかの競争となってくるから、変化に鈍感な大企業のままでは、これらの経営環境の変化に適切に対応することができない。日本の大手家電メーカーが衰退していく一方で、小規模の家電ベンチャー企業が次々と個性的な家電商品を生み出し、発展している姿は、正にこのことを象徴的に示している。例えば、重構造の羽根を持つ扇風機『GreenFan』や高性能空気清浄機『JetClean』などの製品を出しているバルミューダや一本のパイプの外観が魅力的なデスクライト『Stroke』や木の雰囲気が素晴らしいワイヤレス充電器『Rest』などの製品を出している一人会社のBsize、あるいは、ネットと家電で生活をもっと便利に・豊かにすることを目指すCerevoなどである。

 

 それ故、大企業においては、それらのデメリットを解消するために会社の中に個々の事業にとって“適性な規模”の経営体、開発から製造、販売という事業全体について自己完結しうる権限と責任をもつ事業組織を作るなどの工夫をすることが必要である。その組織の責任者が経営者として顧客や仕入先、社員を含む事業の全体を把握し、文字通り“経営する”ことのできる“適性な規模”であって、その下で、明確な経営目標を立て、組織の風通しを良くして上下双方向のコミュニケーションを円滑にし、顧客や競合他社を含む経営環境における変化の情報が素早く経営幹部に上がり、経営者が素早く経営判断をして、組織がその判断に基づいて直ちに一致団結して行動できるようにするのだ。松下幸之助が導入した“事業部制”や稲盛和夫氏の京セラの経営の核ともなっている“アメーバ経営”などはその例である。

 

 実は、松下幸之助自身、“大企業”が必ずしもよいとは考えていなかった。むしろ、企業には、その事業に応じて“適正な規模”があると考えていた。そこで、会社の規模が大きくなり、“大企業”になっても、中小企業の良い所を如何にして残すかということをむしろ考えていたのである。モノが一通り行き渡った現代の複雑な情報化社会において、顧客のニーズは多様化し、しかも変化していく中で、これまでのようにやるべきことが必ずしも明確ではなく、むしろ顧客が本当に求めているものを探し出すところから始めなければならない。そのための情報は常に顧客の側にあるのである。企業の側にはない。それを企業の側で分かると考えるのは“傲慢”であり、“驕り”である。仮にこうだと考えても、それを“仮説”として検証して行くという態度が不可欠である。従来の規格大量生産のビジネス・モデルに囚われ、プロダクトアウトの発想でメーカーの決めた製品を大量生産し、グローバルに展開しようとした日本の大手家電メーカーの失敗の原因の一つはこの点にあった。自分たちのビジネスモデルや自分たちの技術、過去の成功体験等々に囚われて、顧客のニーズを自分たちの都合のいいように“歪めて”見てしまうからである。

 

 従って、自分たちで勝手に決めつけるのではなく、顧客の側に寄り添って、顧客の本当に求めるものをいち早く把握して、他社よりも先に商品化していくことが、かつてないほど重要となっていると言っても過言ではない。“方向性”と顧客の変化する多様なニーズを掴む“感度”とそれを迅速に実現できる“機動性”が重要となってくる。そのためには、顧客と直接接している最前線の営業マン等の社員たちが、皆“意欲”に満ちて、しかも、顧客の方を向いて、高い感度を持って、そのニーズを把握し、それを実現する製品を提案すること、そして、それらを組織として汲み上げて商品化して行く仕組みが重要である。

 

 これまでのように新興国の顧客から遠い日本の本社で、経営トップやスタッフが、現地の事情についての極めて限られた情報だけで、日本を中心に自分たちの都合で、あるいは、自分たちの“思い込み”で決定するというやり方では、先進国であれ、新興国であれ、現地の人々のニーズに応えることは難しい。そのためには、現地に信頼できる経営幹部を派遣するか、又は、現地の人を育成した上で、現地で自己完結できるよう、“権限の委譲”を進めていくことが必要であろう。

 

 また、日本人がすべてを決めることにとらわれていては、グローバルに顧客のニーズに的確に対応していくことは難しい。日本は、世界の中で見れば、様々な点でむしろ“ガラパゴス化”した特殊な社会だからである。それ故、例えば、日本の本社の中にも、世界の中の顧客と同様の多様性を持たせ、女性や外国人などを経営の意思決定に参加させるなどして活用することで、本社内の日本人の意識と価値観を変えて行くことも必要となってくるであろう。2014年の世界の企業ダイバーシティ・ランキング「The DiversityInc Top 50 List」で1位を獲得したスイス・バーゼルに本社を置く製薬会社Novartis Pharmaceuticals Corporation社は、特にこの点を重視し「会議室に全く同じ考えを持つ10人は必要ない。会議室に必要なのは独自の考え方を持つ10人。そうすることで、顧客のために何をなすべきかについて合意に至ることができる。」と述べている。

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