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松下幸之助の経営哲学-その真髄の理解と実践のために-

世の中に優れた経営者と言われる人は多くいますが、”経営の神様”と言われたのは、松下幸之助だけです。なぜでしょうか?それは、卓越した観察力で様々な人々を観察する中で、人間の”無限の可能性”と現実の姿としての”心の弱さ”という相矛盾する本質を発見し、そして、それらの双方の本質を共に活かそうとして、”自分の心を使いこなす”こと、また、それを応用して他人を使うことを極めたからだと言えるのではないでしょうか。つまり、松下幸之助の経営哲学は、”人間学の集大成”とも言えるものです。

本サイトでは、これまで必ずしも十分に解明されなかった松下幸之助の経営哲学の機能とメカニズムを現代の神経科学や脳科学、心理学、神経言語プログラミングなどの知見にもとづいて解明し、その全体像を明らかにして体系化したものです。これまで松下幸之助の経営哲学は知識として頭で理解することはできても、本当の意味で実践することは必ずしも容易ではありませんでした。しかし、本サイトが解明したその経営哲学を”血肉”となるほど自分自身の”信念”とすることができれば、その経営に、また、人生に自然と実践することができるようになるでしょう。そうすれば、結果は自ずとついてくるものだと言えましょう。                                    

 

                           2016年5月1日 著者 宮﨑 勇気                 

(4)“お客様大事の心に徹する”-その現代への応用②

December 22, 2017

(4)“お客様大事の心に徹する”-その現代への応用 ②

 

 そうではなく、新興国では何が本当に求められているのかということを松下幸之助の言う「相手の立場に立って考える」こと、そして、“自社の既存の製品や技術”にとらわれず、まず“白紙”から問い直し、新興国で真に必要とされる機能を新たに見出すことが必要である。例えば、ユニ・チャームは、タイやインドネシアの市場において、顧客を徹底的に“観察する”ことを通じて、宗教上の理由から“洗える生理用ナプキン”が必要とされていることや衛生上の理由から“パンツ型紙おむつ”のニーズがあることに気づき、現地の人々が本当に必要とするニーズに応えた商品を開発した。その一方で、現地の人々にとって不要な機能を捨てることで顧客が買える価格を同時に実現することに成功したのである。松下幸之助が「一商人なりとの観念を忘れず」として強調した「人々の役に立つこと」をまず考えた上で「収支を立てる」という“商売の本質”を理解し、実践したものと言えるであろう。また、P&Gは、メキシコにおいて、“消費者に近づこう”キャンペーンとして、社員が「共に生活してみる」ということを行い、その結果、使用水量削減しつつ、洗濯を簡単にしたいというニーズに気づき、それを実現した洗濯柔軟剤「ダウニーシングルリンス」を開発し、商品化した。(以上、2つの事例は伊藤邦雄著「危機を超える経営」より)

 

 これらの事例は、「相手の立場に立って考える」具体的な方法として、顧客から離れた日本の本社や研究室で考えるのではなく、相手に物理的にも精神的にも近づいて、徹底的に観察するか、あるいは、共に生活をし、同じ生活空間を共有する中で、彼らの顕在的あるいは潜在的なニーズを感じ取るということを行っているのである。

 

 この点で、興味深いのは、米国General Electricのジェフリー・イメルトCEO等の主張し、実践したリバースエンジニアリングという経営戦略である。これは、次のような考え方である。「国内で高級品を開発して、世界の他の国の市場でもそれらを採用するというこれまでのビジネスモデルは、富裕国での成長が減速しているため、十分ではない。企業は、後進国市場の機会を開拓し、富裕国の価値あるセグメントを他社に先駆けて開発するため、中国やインド等の後進国で製品開発を行い、グローバルに販売すること、即ち「逆革新」を学ばなければならない。」これは、米国内にも、1日2ドル以下で暮らす貧困層が30億人いると言われていることからすれば、後進国のニーズは米国を始め、先進国内に存在する貧困層にも妥当すると考えられるし、また、従来の商品開発に比べてはるかに顧客に寄り添ってそのニーズを把握していることから、従来の先進国における開発では見落としていたニーズを改めて、後進国で見出したとも考えられる。

 

 いずれにせよ、そうして後進国において従来以上に顧客に寄り添った形で、本当に求められているニーズを掴み実現していく一方で、日本にいて、日本では必要とされている機能だから、新興国でも必要だろうと一方的に決めつけるのではなく、現地に行ってみれば、そのような機能は新興国では必要とされていないことも見えてくる場合がある。そのようなときには、そうした現地で不要と思われる機能は、思い切って削ぎ落とし、真に求められている機能に絞り込んでいくことが重要である。そうすることによって、現地の人々の手が届く低価格を実現することができるのである。ユニ・チャームの事例は正にその事例であった。

 

 さらに、利益を確保するためには、不要な機能を削ぎ落すことに加えて、サプライチェーン全体に亘って無駄なコストを徹底的に削減していくための独自の知恵と工夫も必要であろう。

 

 以上から、松下幸之助が決して忘れてはならないと強調した「一商人なりとの観念」の第一の意味と第二の意味は、現代においても通用するものと考える。すなわち「人々の役に立つ」ために「為すべきこと」「相手の立場に立って考える」ということを徹底して実践し、それを実現する一方、「収支を立てる」、つまり、現地の人々にとって不要な機能を外し、あるいは、サプライチェーン全体の中で徹底したコスト削減を行うなど知恵を出し工夫を凝らして、現地の人々の手の届く価格を実現し、かつ、自社の利益も確保できるようにするのである。

 

 このように考えてくると、先進国と新興国のいずれの場合も結局は同じであって、“顧客が真に求めているもの”を的確に掴み、それをその国の人々にとって“適性な価格”で実現していくという本来の商売や事業の姿に向かいつつあると言ってもよい。そこで求められるニーズと顧客の払える価格が、モノが行き渡った先進国とそもそもモノが不足している新興国との間では、発展段階の違いや歴史や文化、生活環境、習慣の違いもあって、異なっているというに過ぎない。要は、競争力の源泉が、従来の“如何に効率的に規格大量生産を行うことができるか”ということから、“顧客の求める価値を過不足なく迅速に実現し、顧客の手の届く適正な価格で提供し続ける能力”に移ったのである。

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(お知らせ)関連の下記ブログも併せてご覧いただければ幸いです。

“松下幸之助の経営哲学”の現代の諸問題への応用として、最近の話題等をテーマにしたブログです。http://ameblo.jp/minamoto305yori-konosuke/

最新の記事は、「成功する企業から学ぶ~時代を超えて不変かつ普遍の松下幸之助の経営哲学~33 (4)経営者の意識を持たせる:“社員稼業”⑤-三鷹光器」です。どうぞご覧ください。

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