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松下幸之助の経営哲学-その真髄の理解と実践のために-

世の中に優れた経営者と言われる人は多くいますが、”経営の神様”と言われたのは、松下幸之助だけです。なぜでしょうか?それは、卓越した観察力で様々な人々を観察する中で、人間の”無限の可能性”と現実の姿としての”心の弱さ”という相矛盾する本質を発見し、そして、それらの双方の本質を共に活かそうとして、”自分の心を使いこなす”こと、また、それを応用して他人を使うことを極めたからだと言えるのではないでしょうか。つまり、松下幸之助の経営哲学は、”人間学の集大成”とも言えるものです。

本サイトでは、これまで必ずしも十分に解明されなかった松下幸之助の経営哲学の機能とメカニズムを現代の神経科学や脳科学、心理学、神経言語プログラミングなどの知見にもとづいて解明し、その全体像を明らかにして体系化したものです。これまで松下幸之助の経営哲学は知識として頭で理解することはできても、本当の意味で実践することは必ずしも容易ではありませんでした。しかし、本サイトが解明したその経営哲学を”血肉”となるほど自分自身の”信念”とすることができれば、その経営に、また、人生に自然と実践することができるようになるでしょう。そうすれば、結果は自ずとついてくるものだと言えましょう。                                    

 

                           2016年5月1日 著者 宮﨑 勇気                 

(3)「人類は選ぶ力を持っている」 ②

July 29, 2016

3.人間大事の経営

 

2)人間の本質を活かす-「すべては心の持ち方次第」「自分の心を使いこなす」

 

(3)「人類は選ぶ力を持っている」 ②

 

 しかし、逆もまた真なりである。“心の持ち方”は、マイナスにも働く。

 

 “心の持ち方”が“私心にとらわれている”状態であると、これまで見てきたように、それを核として“削除”“歪曲”“一般化”のメカニズムが知覚と解釈・判断のプロセスに働き、自己中心的な損得や好き嫌い、楽か苦痛かだけで物事の一部だけを見て偏った判断し、決めつけることとなる。また、情勢に流され易く、自分の感情にとらわれて、調子のいいときには“有頂天”になって、“傲慢”になり、他方、調子が悪くなり、物事がうまく行かなくなると、“意気消沈”して、意欲も知恵も出なくなってしまう。

 

 あるいは、物事がうまくいかないと、自分を守ろうとして、他人や環境のせいにし、自分は“被害者”だと考える。そのような自分は無力だと考える“低い自己イメージ”は、頭の中で“心理的な限界”を創り上げてしまい、少々のことで直ぐに“できない”と思ってしまう(“一般化”)。

 

 このような人間の“心の弱さ”を克服するためには、まずその核となっている “私心へのとらわれ”から抜け出すことが先決問題であり、そのために必要なものが、“とらわれない素直な心”を持つことであった。それによって、“心の縛り”が解けて、より広い視野で他の様々の情報や選択肢、さらにそれらを含む全体を客観的に見ることができるようになり、その状況において最も自分に役立つ“心の持ち方”を見出すことができるようになる。また、“素直な心”となって縛られていた特定の考えから解放され、どの方向にも“融通無碍”に動ける中立の状態に移行することで、その最も役立つ“心の持ち方”を“自由自在に選ぶ”ことができるようになるのである。

 

 あるいは、松下幸之助が「一商人なりとの観念」として強調した3つの内の一つ“感謝の心を忘れない”という“心の持ち方”も、“素直な心”と同じ機能を果たすものだと考えられる。即ち、自分の意識をフォーカスする“焦点”を、自分にとってマイナスの情報からプラスの情報に移行させることによって、“私心へのとらわれ”から自分の心を解放する機能を持つものと考えられるからである。さらに、“感謝すること”は、自分の意識を内から外へ向け、“恩に報いる”べく、社会や顧客に向けたベクトルとエネルギーを生み出すという効果も持つと言えよう。

 

 いずれにせよ、“私心へのとらわれ”から抜け出した後、その状況において最も自分に役立つ“心の持ち方”を見出し、それを選ぶのである。

 

 特に事業経営において役立つ、経営者の選ぶべき“心の持ち方”を集大成したものが、松下幸之助の経営哲学である。そこで、松下幸之助の提示する、その経営哲学上の様々な概念のフレームを通して、目の前の現象や状況を見直してみる。そうすると、それらのフレームを通して眺めることによって、視点が上がり、また、異なる視点を得ることができる。それらの概念は、それまでとは全く異なる世界を見せてくれる、いわば“魔法のメガネ”なのである。その結果、人間の“心の弱さ”を克服して、“正しい方向”に向かうとともに、“正しい思考プロセス”で物事を考えることができるように自然と導かれるのである。

 

 例えば、「オモテからウラへ」「ウラからオモテを」見る“複眼思考”もその例である。私たちは、つい物事の一面だけを見て判断してしまいがちであるが、このフレームを通して見ることによって、半ば強制的にオモテとウラの両面を見ることとなる。曰く、「大事なことは、自分の心をときはなち、ひろげていくことである。そしてたとえば、いままでオモテから見ていたものをウラから見、またウラを見ていたものをオモテも見てみる。そういったことをあらゆる機会にくり返していくことであろう。」(「松下幸之助一日一話」p.188)

 

 また、例えば「商売は、私事ではなく、公事であり、企業は社会の公器である」というメガネをかける(そのような“心の持ち方”を選択し、“強固な信念”とする)ことによって、事業や商売を“私事”として、“自分たちのために、自分の利害や感情で事業や商売を行う”という考え方が無意識の内に排される。そして、さらにより積極的に「事業を通じた社会への貢献」こそが“事業の目的”であり、“企業としての存在意義”であるとのフレーム(メガネ)を併せて持つことにより、“公”の為に“公事”として事業や商売をしなければならないという目指すべき“正しい方向”で自然と考えて行動するようになるのである。

 

 これにより思考の方向を、社会の為に“何が正しいか”という視点から自分たちの会社が“為すべきこと”は何かを考えさせるのである。そして意識のフォーカスする先を“心の弱さ”の元凶である“私的欲望”や“私心へのとらわれ”から“社会の発展への貢献”という“公的欲望”へと導いていく。そうすると、“焦点化”により、“社会の発展”に必要な情報が集まり、そのチャンスにも気づくことができるようになる。そして、それまでとらわれていた自分の利害や感情などは、逆に“削除”され、盲点となって見えなくなる。

 

 しかも、我々は社会の為になる“正しいこと”をしているのだという“確信”を持つことができ、そこから“自分の為”だけに経営していたときには発揮できなかったような“力強い経営”をすることができるようにもなるし、それまでの“苦しみ”が“楽しみ”に変わると言うのである。

 

 こうして“私心へのとらわれ”から脱却させ、“私的欲望”を“公的欲望”に転換させることは、人間の“心の弱さ”に打ち克つための松下幸之助の知恵であり、同時にそれは“商売の王道”に導くガイドともなっているのだ。一石二鳥である。

 

 曰く、「人間誰しも自分が大事であり、可愛いものである。そのことはごく自然な感情ではあるが、しかしそうした自分の利害とか感情にとらわれてしまうと、判断を誤ることもあるし、また力強い信念も湧いてこない。そうした自分というものを捨て去って、何が正しいかを考え、なすべきことをなしていくところに、力強い信念なり勇気が湧き起こってくると言えよう。だから、私心をすてるということは、だれにとっても必要ではあるが、特に指導者にはそれが求められる。」(「指導者の条件」p.77)

 

 また、「単に自分の店を大きくしよう、自分だけ儲けようというような考え方、それだけでは私はどこかに弱さがあるように思う。もちろん、そういうことも、そのうちには入っているけれども、目のつけどころは、より高いものに、社会とともに発展するのだ、あるいは、世の中のためになるのだ、という考え方を持つことである。そして、自分は社会を発展させる一人の選手である、と・・・考えるようになってから後は、これまで苦労と思えたことも少しも苦労でなくなってしまったわけである。かえって・・・働く喜びに変わってきた。・・・つらいことが、うれしい尊いことに変わってきた。したがって、むつかしい仕事にぶつかるたび新しい勇気がわき出て、事業に体当たりしていったように思う。」(「物の見方考え方」p.181)

 

 そして、このように“心の持ち方”を自由自在に選ぶためには、“訓練”が必要であり、「素直な心」を持つとともに、「心を鍛え「心を磨く」ことによって「自分の心を使いこなす」ことができるようになることが肝要であると松下幸之助は強調する。曰く、「われわれは、これから仕事をするに当たって、まず心を磨くというか、ものの考え方を成長させる必要があります。」(「松下幸之助一日一話」p.161)

 

 そうして選んだ“心の持ち方”は、それを自分のものとすることを“決意”するだけでなく、繰り返し自分に言い聞かせて、“強固な信念”にまで高めることが不可欠である。そうして、初めてその“心の持ち方”は、自分の潜在意識のレベルに新たなプログラム(“信念”)として形成され、機能し始める。つまり、その“信念”を反映した“考え”と“行動”が自然に現れてくるのである。人間は、自分の“信念”に沿って物を考え行動するようにできているからだ。

 

 以下で、自分の心を具体的にどのように使いこなすのかを見て行く。

 

Copyright © 2016 Yuki Miyazaki  All rights reserved.

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