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松下幸之助の経営哲学-その真髄の理解と実践のために-

世の中に優れた経営者と言われる人は多くいますが、”経営の神様”と言われたのは、松下幸之助だけです。なぜでしょうか?それは、卓越した観察力で様々な人々を観察する中で、人間の”無限の可能性”と現実の姿としての”心の弱さ”という相矛盾する本質を発見し、そして、それらの双方の本質を共に活かそうとして、”自分の心を使いこなす”こと、また、それを応用して他人を使うことを極めたからだと言えるのではないでしょうか。つまり、松下幸之助の経営哲学は、”人間学の集大成”とも言えるものです。

本サイトでは、これまで必ずしも十分に解明されなかった松下幸之助の経営哲学の機能とメカニズムを現代の神経科学や脳科学、心理学、神経言語プログラミングなどの知見にもとづいて解明し、その全体像を明らかにして体系化したものです。これまで松下幸之助の経営哲学は知識として頭で理解することはできても、本当の意味で実践することは必ずしも容易ではありませんでした。しかし、本サイトが解明したその経営哲学を”血肉”となるほど自分自身の”信念”とすることができれば、その経営に、また、人生に自然と実践することができるようになるでしょう。そうすれば、結果は自ずとついてくるものだと言えましょう。                                    

 

                           2016年5月1日 著者 宮﨑 勇気                 

(1)“心の弱さ”に打ち克つ

June 18, 2016

3.人間大事の経営

 

2)人間の本質を活かす-「すべては心の持ち方次第」「自分の心を使いこなす」

 

(1)“心の弱さ”に打ち克つ

 

 松下幸之助は、このような“私心”への“とらわれ”という“自己中心的な心の持ち方”こそが、“人間の弱さ”の“源”となっていることに気づき、それから抜け出すことをその経営哲学の重要なテーマの一つと位置付けて、そのために実に様々の工夫を重ねた。

 

 

 この点松下幸之助は、次のように述べている。曰く、「・・・人間とはそうした弱さのかたまりだとも言える。・・・が、そこから先のところで差がついてくるのである。そのまま弱さに引きずられ、その中に埋没してしまうか、少しでも弱さに打ち勝つ努力をするか、で違ってくる。そうして自分の弱さに打ち勝ってゆくところにお互いの進歩向上がある。

 

 

 先に述べた通り、実際には、多くの企業では、戦略や理論だけで対処しようとし、その戦略の実行面における人間的側面を考慮しない経営者が多いのである。“合理的な人間”像を前提とすることの問題点は、正にこのような“人間の弱さ”とそれらが経営、特に戦略の実行の局面において与える悪影響を見ようとしないところにあると言えよう。

 

 

 しかしながら、事業活動というものは、“人間”が集まって行う極めて“人間的な活動”であるから、そのような“心の弱さ”を抱えた生身の人間の活動をマネジメントすることが経営の中核の一つでなければならない。

 

 

 翻って考えれば、“経営において生ずる様々な問題”は、突き詰めれば、そのほとんどが経営者や社員に“人間の心の弱さが現われた姿”そのものであると言っても過言ではない。とすれば、経営上現れる様々な問題に適切に対処していくためには、それらの問題の解決策だけでなく、経営者や従業員に現れるその“心の弱さ”に対しても、それらを克服するために必要な手を打って行かなければならないのである。そして、それが“経営の一部”でなければならない。

 

 

 それ故、松下幸之助は、前述の如く、「そうした人間に対する正しい認識を欠いたならば、いかにいろいろ方策を講じ、努力を重ねても、それは往々にしてみのり少ないものになってしまい、時にはかえって人間自身を苦しめることにもなりかねない。」(「指導者の条件」p.167)と経営戦略等の形式的な適用を厳しく戒めるのである。

 

 

 そして、何よりもまず“そもそも人間は弱いものだ”という認識を持つということがその出発点でなければならない。そのような認識がなければ、そこに“手を打つ”という発想も行動も生まれないからである。

 

 

 松下幸之助は、人間は“弱さのかたまり”だという認識の上に立って、人間が共通して陥り易い“弱さ”に対して、それらを克服することができるように導くための様々なフレームワークをその経営哲学の重要な概念として織り込んだのである。

 

 

 ところで、人間を“弱さのかたまり”だと見ることと人間には無限の可能性があるとの考え方とは、一見矛盾するようにも見えるが、必ずしもそうではない。人間には“無限の可能性”があるという本質があるが、それが“私心にとらわれる”ことによって、その本質が覆い隠され、“心の弱さ”という“現実の姿”として現れていると考えられるからである。

 

 

 先に述べた通り、人間の“弱さ”の源が、“私心”への“とらわれ”にあるとすれば、そこからどうすれば抜け出すことができるのであろうか。

 

 

 そのために松下幸之助が最も重要と考えた“心の持ち方”は、後述する“素直な心”であった。“素直な心”を持つことによって、“素直な心”を持つことによって、「物事をありのままに見ることができる」という。この点は次のように解釈することができる。“とらわれない素直な心”を持つことによって、様々な“とらわれ”から心が解放され、視野が拡がって、それまで“削除”され、“盲点”となって見えなかったことが見えるようになり、他の物の見方や考え方にもオープンになることができるようになる。また、特定の“とらわれ”に縛られることなく、“中立の立場”を維持することにより、“歪曲”したり、“一般化”したりすることなく、物事を“ありのまま”に見ることができるようになるのである。

 

 

 そのことは、特に経営者に当てはまる。これまで述べてきた通り、経営者が“私心にとらわれる”と、その“私心”を核として“削除”“歪曲”“一般化”のメカニズムが機能し、経営判断を誤ることにつながるからである。松下幸之助が見てきた多くの経営の失敗がこのパターンであった。それが、松下幸之助が経営者の最も基本の心構えとしてこの“素直な心”を位置付けた理由であった。

 

 

 また、松下幸之助は、自分の為に事業をするというのでは、本当の力強さは出ないと言い、むしろ、力強さの源となるものは、世の為人の為に事業をやっているのだ、正しいことをやっているのだという信念であると考えて、「事業を通じて社会の発展に貢献する」との事業の目的即ち会社の存在意義を「綱領」として定め、「企業は社会の公器である」と企業の性質を明示した。それまで心の核となっていた“私的欲望”から心を解き放ち、それに代わる心の核として“公的欲望”を注入する。その結果、それまでの“私心”にとらわれて、それを核として“削除”“歪曲”“一般化”のメカニズムが機能することから生まれる“人間の弱さ”を克服することができるのである。この“私的欲望から公的欲望への転換”が松下幸之助の出した答えの一つであった。

 

 

 また、“人間の小さな知恵才覚”だけに頼らず、それを超えた“自然の理法”に基づく経営(後述)をしなければならないと強調したことも、“私心へのとらわれ”から脱するための知恵だと言える。それは、いつも淡々と同じように光を注ぐ太陽のように、情勢や自分の利害や感情に流されることなく、「当然のことを当然にやっていくということ」を意味する。「その為すべきことをキチンとなしていれば、経営というものは必ずうまくいくもの」だと言う。ところが、実際の経営となると、そのとおりやらない場合も出てくる。“私心”にとらわれて「なすべきことをなしていない姿」であり、あるいは、なすべきでないことを無理になしている、天地自然の理に反した姿だとし、「経営の失敗というのは、すべてそういうところから出ているといってもいいであろう。」と断じている。(「実践経営哲学」pp.45-49)

   

 

 また、松下幸之助は、後に述べるように、伸縮自在の“人間の心の変化性”に着目し、“自分の心を使いこなす”こと、つまり、その時々の状況に最も適切な“心の持ち方”を自ら選んで行くことによって、“人間の心の弱さ”を克服しようとした。それによって、自分自身の物の見方が変わる、つまり、目の前の現象の“捉え方”が変わり、自分の“考え”と“行動”が変わるのである。例えば、与えられた環境や状況が如何に過酷で困難なものであっても“心の持ち方”を変えることによってそれらをより前向きかつ積極的に捉え直し、それらをむしろ自分のために最大限に活かしていくということさえも可能となる。松下幸之助は、このようにして“禍転じて福となす”ことで、経営の危機を何度も乗り越えるとともに、むしろ逆に大きな発展へと導いてきた。それは、「仕事も人生も心の持ち方次第である」との言葉に表れている。

 

 

 松下幸之助は、以上のフレームワークを自ら活用するだけでなく、日々の自分自身に現れる心の弱さを個々に見出して、その弱さを克服するために手を打って行った。そのため、日々の自分の行いを振り返る“自己反省”や自分を外から客観的に観察する“自己観照”を実践した。これらによって日々自分に現れるその時々の“弱さ”に気づき、未来に向けて自分の“心の持ち方”を修正して行くのである。

Copyright © 2016 Yuki Miyazaki  All rights reserved.

 

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