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松下幸之助の経営哲学-その真髄の理解と実践のために-

世の中に優れた経営者と言われる人は多くいますが、”経営の神様”と言われたのは、松下幸之助だけです。なぜでしょうか?それは、卓越した観察力で様々な人々を観察する中で、人間の”無限の可能性”と現実の姿としての”心の弱さ”という相矛盾する本質を発見し、そして、それらの双方の本質を共に活かそうとして、”自分の心を使いこなす”こと、また、それを応用して他人を使うことを極めたからだと言えるのではないでしょうか。つまり、松下幸之助の経営哲学は、”人間学の集大成”とも言えるものです。

本サイトでは、これまで必ずしも十分に解明されなかった松下幸之助の経営哲学の機能とメカニズムを現代の神経科学や脳科学、心理学、神経言語プログラミングなどの知見にもとづいて解明し、その全体像を明らかにして体系化したものです。これまで松下幸之助の経営哲学は知識として頭で理解することはできても、本当の意味で実践することは必ずしも容易ではありませんでした。しかし、本サイトが解明したその経営哲学を”血肉”となるほど自分自身の”信念”とすることができれば、その経営に、また、人生に自然と実践することができるようになるでしょう。そうすれば、結果は自ずとついてくるものだと言えましょう。                                    

 

                           2016年5月1日 著者 宮﨑 勇気                 

経営環境の激変する21世紀にこそ求められる松下幸之助経営哲学

June 24, 2017

 私たちの生きるこの21世紀の社会は、様々な変化が同時に進みつつある時代の転換期にあると言える。

 

 先進国においては、先に述べた通り、20世紀までの工業化社会の規格大量生産型のビジネスモデルはもはや通用しなくなりつつある。顧客のニーズは主観化して多様化し、国や地域によって異なるからである。また、ヒット商品を出しても、直ぐに同業他社から類似品が出てきて、その製品の独自性や強みが希釈化し、陳腐化してしまう。顧客は、それらに飽き、新しいものを求める。このように顧客のニーズは、際限なく変化していく。また、“経済と経営のグローバル化”が進行しつつあり、競争は益々激しくなっている。“デジタル化”は、ものづくりにおける日本企業の強みであった“擦り合わせ”の技術を不要のものとし、新興国の企業の新規参入を容易にし、“情報化”は、溢れる情報の中から“知恵”を生み出すことによって他社との差別化を図る“知恵の競争”を生み出している。一方新興国においては、先進国で開発された製品をそのまま持って行っても、なかなか売れない。また、先進国で成功したやり方をそのまま持ち込んでもうまくいかないことも多い。求めるニーズが違っていたり、製品を使用するのに必要なインフラが不十分であったり、顧客の購買力が、売られている価格に届かないからである。

 

 このように世の中が大きく変化する時期は、価値観が揺れ、変化の前と後の様々な現象が起き、相矛盾する情報が溢れ、いわば混沌としたカオスの状態とも言える状況を呈するにあると言えよう。このような中で時代の流れを読み、将来を予測して、経営の舵取りをしていく“経営者”の仕事は、極めて困難である。

 

 このような混沌とした経営環境の中で、何を根拠にどのように経営の判断をするのか、軸となるしっかりした考え方を持っていなければ、環境の変化に翻弄され、情勢に流されて誤った判断をしてしまったり、その時々の状況にとらわれて、一貫性のない場当たり的な判断をしてしまったり、あるいは、混沌とした状況の中でどう判断すべきかもわからない、一応の判断をしても、その判断に自信が持てず、その後の実行も力強さを欠くということになりかねない。そのようなときにこそ常に“正しい方向”に向かう“ブレない軸”が経営者に必要である。

 

 この点、松下幸之助は、「経営というものは、正しい考え、正しいやり方をもってすれば、必ず発展していくものと考えられる。それが原則なのである。」(「実践経営哲学」p.54)と喝破し、「事にあたって、行き詰まるということはない。行き詰まるということは、行き詰まるようなものの考え方をしているからである。」と述べ、経営がうまく行かないときには、実際に行った施策というよりも、その“源泉”とも言うべき経営者の“心の持ち方”にこそ真の“原因”があるのだと考えた。誤解を恐れずに言えば、現実に現れる“経営の姿”やその“成果”あるいは“問題”というものは、すべて“経営者の心の持ち方が反映したもの”だからである。事業経営に関する、そのような“正しい心の持ち方”、即ち“価値観(重要だと思うこと)”と“信念(正しいと信じること)”を自身の体験と実践から集大成したものが、松下幸之助の経営哲学である。

 

 それ故、松下幸之助の経営哲学は、経営環境の激変するとき、即ち、経営者が環境の変化に翻弄され、情勢に流されて、進むべき方向を見失い、経営の舵取りに迷うようなときにこそ、その真価を発揮する。それらは、経営者が持つべき“心組み”あるいは “心の持ち方”を提示し、それらを通じて、目の前の現状を正しく認識させるとともに、進むべき“正しい方向”と“正しい思考プロセス”、即ち、“経営者としてのあるべき物の見方と考え方”に導いてくれる、いわば“魔法のメガネ”である。そこで提示されている“心の持ち方”は、松下幸之助自身の60年を超える経営者としての実践の中から昇華され完成されたものであり、その正当性は、何よりもその経営の実績自体が証明している。松下幸之助自身、「ここに述べたことは、・・・実際の経営においては、基本的にまちがいのない、かつ、きわめて大切なことばかりではないかと私自身は考えています。つまり、このような考えを経営の基本において事業を進めていくことが、成功に結びつくものだと思います。それは私自身の体験なり、見聞からもそういうことがいえますし、結局、経営というものが本来そうすればうまくいくようにできているのではないかと思うのです。」(「実践経営哲学」あとがき)と自信を持って述べている。

 

 ただ、この“魔法のメガネ”は、掛け方が必ずしも容易ではない。これをかけるには、“コツ”が必要だ。つまり、そこで提示される様々な概念を繰り返し自分に言い聞かせて、心から信じ、それらを自分の“強固な信念”としなければ、“魔法のメガネ”として働かないのである。また、時と状況に応じて最も適切なメガネ(“心の持ち方”)にかけ替えられるよう「自分の心を使いこなすこと」、そのために「自分の心を磨くこと」、「物の見方や考え方を成長させていくこと」が必要なのである。このようなプロセスを欠く場合には、単なる知識で終わってしまい、実践につながらないのである。

 

 松下幸之助自身、心を鍛えることについて次のように強調する。曰く、「人間の心というものは、本当に自由自在なものだと思います。考え方次第で、困難だと思っていたことでも、逆にうれしいことになります。・・・皆さんの長い一生のうちにも、・・・何か困難な問題が起こったとしても、心の働きによっていかようにでも考えられると思うのです。もう辛抱できない、あしたにでも自殺したいというような場合でも、考え方を変えるならば、一転して、あたかも広々とした大海をゆくが如き悠々とした心境に転回することさえできるのです。それが人間の心の動き、心の働きというものでしょう。ですからみなさんは、これから仕事をするにあたって、まず心を磨くというか、物の考え方を成長させる必要があります。」(昭和36年4月大学卒新入社員導入教育における訓話「わが経営を語る」p.234より)

 

 一旦“心を磨く”ことに成功し、この“魔法のメガネ”を正しくかけることができれば、それを通して、見るもの、聞くものがそれまでとは全く違って見えてくる。目の前の現象の“捉え方”が変わり、その“意味”が変わり、そして、自分のそれに対する“考え方”やさらには“気分”が変わって、“行動”が変わる。その“結果”も当然変わってくる。目の前の状況に対して経営者として具体的にどうすればよいのかということは、その環境と事業に身を置く経営者自身が、この“魔法のメガネ”をかけて、自身の事業と経営環境を改めて見直し、その結果を踏まえて、“為すべきこと”は何かということを考えて、考えて、考え抜くことによって、自ずと浮かんでくるであろう。

 

 このように経営環境が激しく変化し、混沌として先行きの不透明な転換期にある21世紀に事業経営に携わる経営者にとって、松下幸之助の経営哲学は、常に正しい方向を示す羅針盤として、また、正しい思考プロセスに導くフレームワークとして改めて必要とされ、益々その真価を発揮するものと私は確信している。

Copyright © 2016 Yuki Miyazaki  All rights reserved.

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